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2013 年度 実施状況報告書

ロエストモンキーにおける単雄複雌群維持機構:行動の性差はあるか?

研究課題

研究課題/領域番号 24570257
研究機関京都大学

研究代表者

田代 靖子  京都大学, 霊長類研究所, 研究員 (60379013)

キーワードロエストモンキー / グエノン / 個体間関係 / 社会構造 / 社会行動 / 単雄複雌群 / ウガンダ
研究概要

ウガンダ共和国カリンズ森林において、ロエストモンキー(Cercopithecus lhoesti)を対象とした野外調査をおこなった。2013年1月にオトナメスが出産し、他の個体がアカンボウの世話をするアロマザリング行動を観察した。野生下で森林性のグエノン類がアロマザリングをおこなうという報告はほとんどなく、本研究が目指す個体識別に基づいた個体間関係の解明に寄与する成果であると考えている。残念ながら上記個体は母子ともに死亡したと推定されるが、2013年末から2014年初めにかけて生まれた個体を対象に、アロマザリング行動の研究を継続している。
一方、2012年末から群れからの個体の消失が相次ぎ、2013年9月の調査時には4頭を残すのみとなってしまった。そのため、隣接群の人づけを新たに開始し、その過程でオス間の攻撃的交渉やメスの隣接群への移入、群れの分裂など、本研究の主要テーマである群れ間関係と行動の性差に関するデータを収集することができた。一般に、グエノン類は母系の単雄複雌群であり、異なる群れに属するメス同士は敵対的であると考えられている。それにも関わらず、メスが隣接群への移入をしたことから、一般式には当てはまらない個体間関係の柔軟性を示すことができると考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

個体数の減少とメスの隣接群への移入により、調査対象群が消失してしまった。現在、隣接群の個体識別を進めているが、完全に識別してデータ収集をするためには、あと2ヶ月程度必要だと考えている。個体識別完了後、個体追跡に基づくデータ収集を再開する予定である。DNA試料の収集に関しても継続しておこなっているが、新たに識別した個体についてはまだ十分な量の試料が集まっていない。平成26年度の調査では、新規個体のDNA試料を重点的に収集する必要がある。

今後の研究の推進方策

平成26年度は本研究課題による渡航を6月~7月に予定している。まず、新たに調査対象群とした群れの全個体について個体識別を完全にすることが重要である。その後、行動学的データの収集、DNA試料の収集をおこなう予定である。また、昨年度までに得られた群れ間関係・群れ内の個体間関係に関するデータを整理し、ロエストモンキーの社会が各個体のどのような振る舞いによって成立しているかを明らかにする。特にオスとメスの行動の違いについて分析を進める予定である。また、昨年度観察したアロマザリング行動についてデータ収集を継続し、群れ内の個体間関係を示す指標の一つとして分析をおこなう。研究の成果は学会において発表し、論文にまとめる。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度末に所属研究機関が閉鎖されたため、同年度の本研究課題による海外渡航ができなかった。そのため、24年度分の渡航費用を翌年度に繰り越した。25年度には本研究課題による海外渡航をおこなったが、他の研究課題による渡航もあったため、繰り越し分をすべて使用しなかった。
約2ヶ月の海外調査を予定している。渡航に際して、航空券、日当・宿泊費として助成金を使用する予定である。また、研究成果を日本アフリカ学会学術大会(京都大学)、国際霊長類学会(ベトナム・ハノイ)において発表するための出張旅費として助成金を使用する。その他、調査に必要な物品、データ分析に必要な物品を購入予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] Gene flow and genetic diversity of chimpanzees in Tanzanian habitats.2013

    • 著者名/発表者名
      Inoue E, Tashiro Y, Ogawa H, Inoue-Murayama M, Nishida T, Takenaka O
    • 雑誌名

      Primate Conservation

      巻: 26 ページ: 67-74

    • DOI

      10.1896/052.026.0105

    • 査読あり
  • [学会発表] "Hunting Craze" by blue monkeys (Cercopithecus mitis) in the Kalinzu Forest, Uganda2014

    • 著者名/発表者名
      Yasuko Tashiro
    • 学会等名
      The 25th Congress of International Primatological Society
    • 発表場所
      Ha Noi, Vetnum
    • 年月日
      20140811-20140817
  • [学会発表] ウガンダ共和国カリンズ森林における中・大型哺乳類の生息密度2014

    • 著者名/発表者名
      五百部裕, 田代靖子
    • 学会等名
      第30回日本霊長類学会大会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      20140704-20140706
  • [学会発表] アフリカ産オナガザル科霊長類を研究する意義2014

    • 著者名/発表者名
      五百部裕, 田代靖子, 松田一希, 郷もえ, 橋本千絵, 小薮大輔, 清水大輔, 赤尾大樹, 松村秀一, 早川卓志, 今井啓雄
    • 学会等名
      日本アフリカ学会第51回学術大会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20140523-20140525
  • [学会発表] アロマザリング(代理母)行動は母親の利益になるか? ーロエストモンキーの事例報告-2014

    • 著者名/発表者名
      田代靖子, 五百部裕
    • 学会等名
      日本アフリカ学会第51回学術大会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20140523-20140525
  • [学会発表] ウガンダ共和国カリンズ森林におけるグエノン3種の社会交渉2013

    • 著者名/発表者名
      田代靖子
    • 学会等名
      第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度 合同大会
    • 発表場所
      岡山
    • 年月日
      20130906-20130909
  • [学会発表] ウガンダ共和国カリンズ森林におけるロエストモンキー(Cercopithecus lhoesti)のアロマザリング行動2013

    • 著者名/発表者名
      田代靖子, 五百部裕
    • 学会等名
      第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度 合同大会
    • 発表場所
      岡山
    • 年月日
      20130906-20130909
  • [学会発表] ウガンダ・カリンズ森林に生息するグエノン3種の種間関係:社会的遊びとグルーミング(予報)2013

    • 著者名/発表者名
      田代靖子
    • 学会等名
      日本アフリカ学会第50回学術大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20130525-20130526

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公開日: 2015-05-28  

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