研究課題/領域番号 |
24570260
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
高雄 元晴 東海大学, 情報理工学部, 教授 (90408013)
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研究分担者 |
古賀 靖子 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (60225399)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 網膜 / 瞳孔反射 / 視交叉上核 / 網膜神経節細胞 / 波長 |
研究概要 |
概日リズムの光同調における混色光の効果に関して、マウスを対象に、転写因子の発現を指標にして、視交叉上核ニューロンの混色光反応性の詳細な解析を行った。この結果、視交叉上核ニューロンは、単色光よりむしろ混色光に強い感受性を有することが確認された。また、内因性光感受性網膜神経節細胞の詳細な生理学的性質を明らかにするために、カルシウムイメージング法を用いた混色光刺激実験系を構築した。当初、LEDと干渉フィルターを用いた簡素な混色光照射システムを試作したものの、内因性光感受性網膜神経節細胞に対し十分に光刺激を行うには照度が不足することがわかった。このため、水銀キセノンランプを光源に用いた光路システムを新たに構築することによって、初期の目的を達成することができた。また、カルシウムイメージング法に加えホールセルパッチクランプ法を併用するシステムを構築した。今後、本装置を使って、内因性光感受性網膜神経節細胞の混色光受容メカニズムを詳細に検討していきたい。一方、ヒトの内因性光感受性網膜神経節細胞と視細胞の相互作用を調べるため、波長の異なる単色光(波長の範囲:440 nm~600 nm)に対する瞳孔反射を測定した。研究当初に設定した実験方法では、光刺激量の範囲が限定的で、瞳孔反射の分光応答特性を検討するには不十分であることが判明した。従って、実験方法を見直して光刺激量の範囲を拡大すると共に、被験者に負担を与えずに効率的にデータを収集できる方法に改善した。これよりデータの収集と解析を行い、また、混色光を用いる実験方法を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね実験計画通りに進んでいる。特に、当初予定していたLED光源を水銀キセノン光源に変更したことにより、順調に実験を進めることができた。また、カルシウムイメージング法を用いた研究手法に加えて、電気生理学手法を用いることにより、当初の研究計画を達成することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り研究を実施していく予定である。すなわち、混色光に対する内因性光感受性網膜神経節細胞の光反応の増強効果に関して、詳細な分光波長感度特性をヒトで明らかにする一方で、この増強効果が、錐体視細胞から内因性光感受性網膜神経節細胞への経シナプス入力を介した神経回路網、あるいは同細胞が含有する視物質様タンパク質(メラノプシン)の生物物理学的特性のどちらに由来するのか明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定通り、混色光刺激実験系を使用してカルシウムイメージング法で同細胞の混色光感度特性を明らかにする。一方、ヒトを対象とした生理学的実験においては、桿体からのシナプス入力を確認するために、暗順応条件下および薄明視条件下で2波長混色光および単色光の比較から明らかにする。なお、翌年度繰越金額は、購入にあたって、割引などにより使用予算額が当初計画より低くなったことによる。
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