研究実績の概要 |
加齢に伴い感受性が低下することが知られている。また、高齢者に観察される味覚障害は食事の楽しみを減らすだけではなく、栄養状態の悪化や免疫状態の低下を招く要因の一つになることも指摘されている。高齢化の進む我が国において、加齢に伴い運動と味覚感受性との関連性がどのように変化するのか明らかにすることは、高齢者の味覚感受性の低下予防や味覚障害の改善策を考究する上で重要である。そこで本課題では、運動が高齢者の四基本味に対する味覚閾値に及ぼす影響を若年者との比較から検討することを目的とした。健康な若年男性9名(年齢は19.6±5.4歳, 身長171.7±5.2cm, 体重62.9±10.8kg, 体脂肪率19.0±5.2%)、及び、健康な高齢男性9名(年齢は67.8±5.7歳, 身長167.3±5.8cm, 体重62.5±6.0kg, 体脂肪率19.5±4.0%)を被験者とした。運動は自転車エルゴメーターを用いて行い、50%強度の運動を30分間行い、運動の前後でテーストディスクを用いて4基本味(甘味・酸味・塩味・苦味)についての味覚テストを行った。塩味および苦味に年齢の主効果(若者の閾値が低い)(P < 0.05)が見られたが、他の味覚には見られなかった。また、どの味覚についても運動の主効果および交互作用効果(年齢×運動)は見られず、血糖値に運動の主効果(P < 0.01)および交互作用効果( P < 0.01)が見られた。
|