研究課題/領域番号 |
24580008
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田浦 太志 九州大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (00301341)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 生合成 |
研究概要 |
Citronellolはバラ花弁やローズゼラニウム(Pelargonium graveolens)に含まれる直鎖状モノテルペンの一種であり、特にローズゼラニウムは本成分を多量生産することが知られている。本植物の粗酵素液を用いた研究からcitronellolはgeraniolからNADPH依存型還元酵素により生合成されることが確認されているが、還元酵素の遺伝子は特定されていない。本年度は、ゲラニオール還元酵素の遺伝子を初めて同定することを目的とした検討を行った。 先ずはじめに、ローズゼラニウム新鮮葉からRNAを精製し、所定の操作に従いcDNAライブラリーを調製して、次世代シークエンサーであるイルミナ社ゲノムアナライザーを用いてショットガンシークエンスを行った。得られた短鎖配列に関し、各種ソフトウェアを用いたアセンブルを行いうことで数万単位のコンティグを含むESTデータベースを構築した。次いで、NADPH依存型のモノテルペン還元酵素として知られる、ミントのpulegone reductaseおよびisopiperitenone reductaseなどとホモロジーを示す配列を検索した結果、5種のコンティグを特定し、それぞれについてRACE法を行うことにより、完全長の遺伝子配列を決定した。各遺伝子全長はRT-PCRにより増幅し、発現ベクターpQE-80Lに組み込み、大腸菌M15に形質転換して発現株を作製した。現在、各組み換え酵素の調製及びcitronellol合成活性の検出を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はcitronellol合成酵素遺伝子を特定し、各種生化学的性質の解明までを目的としていたものの、現在候補遺伝子のクローン化にとどまっているため、やや遅れた進捗状況であると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
既にcitronellol合成酵素の候補遺伝子をクローン化していることから、今後は組み換え酵素の活性測定によりcitronellol合成酵素遺伝子を特定し、本酵素の生化学的性質を解明する。次いで、平成25および26年度計画のcitronellol合成酵素遺伝子のプロモーター解析および本酵素遺伝子を用いたモデル植物の形質転換を行う計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本課題の進捗はやや遅れているため、本年度はcitronellol合成酵素遺伝子の同定と性質解明にかかる、当初予定を超える実験が必要であり、このため平成24年度分の繰り越し額(次年度使用額)を遺伝子工学、生化学および有機分析分野などの試薬費として、平成25年度請求の研究費と合わせて使用することが必要であると考えている。
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