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2012 年度 実施状況報告書

イネにおける全3雑種弱勢現象の多様性と普遍性の遺伝育種学

研究課題

研究課題/領域番号 24580009
研究種目

基盤研究(C)

研究機関鹿児島大学

研究代表者

一谷 勝之  鹿児島大学, 農学部, 准教授 (10305162)

研究分担者 久保山 勉  茨城大学, 農学部, 准教授 (10260506)
手塚 孝弘  大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (20508808)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードreproductive barrier
研究概要

1. HWA1, HWA2遺伝子の高密度連鎖解析 HWA2については,約2400個体の3系交雑集団を展開した.その結果,遺伝子の座乗範囲を約180kbpの範囲に絞り込んだ.HWA1については,以前に育成した約4200個体の3系交雑集団中の有用な組換え型を供試し,Xu et al. (2012)のDNA多型情報に基づき,新たにDNAマーカーを作成することで,遺伝子の座乗範囲を約70kbpの範囲に絞り込んだ.両遺伝子の座乗位置は重なっており,同一遺伝子座の対立遺伝子である可能性がある.
2. HWA1, HWA2遺伝子の遺伝子周辺組換え型個体の選抜と検定交配 日本型品種 台中65号の遺伝的背景に弱勢遺伝子をそれぞれ一つずつ戻し交雑によって導入したBC2F2集団から,候補領域周辺で組換えを起こしている個体を選抜した.選抜個体は,もう一方の弱勢遺伝子をホモ接合でもつ個体と交配し,後代検定によって弱勢遺伝子の遺伝子型が判別できる材料を得た.
3. Oka(1957)で報告されている品種の遺伝子型の確認 Oka (1957)がHwa1-1または Hwa2-1の遺伝子型を明らかにした品種全てを国立遺伝学研究所から分譲していただき,検定交配を行って,Oka(1957)の報告通りの遺伝子をもつことを確認した.
4. 生理学的解析 弱勢の顕著な症状は葉の黄化であり、第7~8葉が展開したころに下位葉から黄化し、黄化した葉ではクロロフィル含量とSPAD値が減少していた。トリパンブルー染色およびイオン漏出の測定により、黄化した葉では細胞死が起きていることを明らかにした。また、細胞死に先立って活性酸素の一種である過酸化水素が発生することも明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

1. BC2F2集団を用いたHWA1, HWA2遺伝子の遺伝子周辺組換え型個体の選抜と検定交配 検定交配による雑種後代の弱勢個体の分離の出現頻度によって組換え型のHWA1, HWA2遺伝子型を明らかにし,密接に連鎖するDNAマーカーの遺伝子型との関係から遺伝子の座乗位置を絞り込むはずであったが,冬季の温室における栽培環境下では弱勢の表現型が明瞭に現れず,遺伝子型の判別が進んでいない.そのため,候補領域の絞り込みが遅れている
2 W-1, W-2によって引き起こされる雑種弱勢現象の再現 2011年度にW-1遺伝子をもつ系統とW-2遺伝子をもつ系統間で交雑を行い,2012年度に雑種第一代を栽培したが,報告されているような弱勢現象は観察されなかった.

今後の研究の推進方策

1. HWA1, HWA2遺伝子の同定 イネの生育に最適な時期となる5月に,HWA1, HWA2の座乗位置の絞り込みに用いる後代検定種子を播種して,遺伝子の絞り込みを早急に行う.候補領域の絞り込みと並行して,HWA1, HWA2をもつ品種の候補領域のシークエンスを進める.遺伝子の絞り込みが終了した時点で,候補遺伝子の形質転換体を作成し,相補性検定を行う.また,弱勢を引き起こした雑種第一代と両親品種を供試して,両遺伝子ならびに関連遺伝子の発現解析を行う.
2. HWA1, HWA2遺伝子の分布 生物研ジーンバンクの選定した世界イネコアコレクションのHWA1,HWA2遺伝子のシークエンスまたは遺伝子周辺DNAマーカーのハプロタイプ分析を行う.また,検定交配により,実際に弱勢遺伝子をもっているかどうか調査する.
3. 弱勢の生理学的解析:H24年度の観察で細胞死が観察されたことから,①核の凝縮や断片化といった形態的特徴がみられるかを蛍光顕微鏡で観察する、②DNAがヌクレオソーム単位で断片化(180-200bpのDNAラダー)されているかを調査し,プログラム細胞死が起きているかどうか調査する.
3. W-1, W-2遺伝子 国立遺伝学研究所から弱勢遺伝子をもつとされる系統種子の再分譲を受けており,今年度,交配して雑種を育成し,供試系統が実際に弱勢遺伝子をもつかどうか確かめる.
4. 新たな雑種弱勢現象の遺伝子分析 アジアの野生イネとオーストラリアの野生イネとの間の雑種第一代ででやや緩やかな雑種弱勢現象を見出しており,遺伝子分析のための三系交雑集団となる種子を交配により得ている.これについても分析を進める

次年度の研究費の使用計画

達成度の項目で詳述したように,検定交配による雑種後代の弱勢個体の分離の出現頻度によって組換え型のHWA1, HWA2遺伝子型を明らかにし,密接に連鎖するDNAマーカーの遺伝子型との関係から遺伝子の座乗位置を絞り込むはずであったが,冬季の温室における栽培環境下では弱勢の表現型が明瞭に現れず,遺伝子型の判別が進んでいない.そのため,候補領域の絞り込みのためのシークエンスに関する実験が進められなかったので,429,911円余ったが,今年度,この実験を進めるために使用する計画である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] イネ雑種弱勢遺伝子HWA1, HWA2の高密度連鎖解析2013

    • 著者名/発表者名
      一谷勝之,浦田千恵子,田浦悟,手塚孝弘,沖山友哉,久保山勉
    • 雑誌名

      育種学研究

      巻: 15(別1) ページ: 17

  • [学会発表] イネ雑種弱勢遺伝子HWA1, HWA2の高密度連鎖解析2013

    • 著者名/発表者名
      一谷勝之,浦田千恵子,田浦悟,手塚孝弘,沖山友哉,久保山勉
    • 学会等名
      日本育種学会第123回講演会
    • 発表場所
      東京農業大学
    • 年月日
      20130327-20130328

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公開日: 2014-07-24  

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