研究実績の概要 |
1. Hwa1-1, Hwa2-1領域のクローニング Fosmidライブラリーを作成し,両遺伝子をクローニングする予定であったが,塩基配列が基準品種とかなり異なっていると思われ,遺伝子を含むクローンの選抜が困難であったため,PacBioRS IIによる全ゲノム解析に切り替えた.費用の関係でHwa2-1遺伝子のみを4セルで分析することになった.現在,コンティグを作成中である.1セルのデータはおよそイネゲノムに相当するため,平均して4×の深度で読まれている計算になる.PacBioは1リードごとの塩基配列読み取り精度は低く,リード数を多くして精度を高めるので,4リードでは不十分と思われる.コンティグを作成した後,以前に取得したIllumina Hiseqの100bp ペアエンド 約 10 ×のデータを貼り付け,候補領域の配列を推定した後で,サンガー法によって改めて配列決定する.
2 HWC2遺伝子の分布の再検討 生物研世界イネコアコレクション(WRC系統),生物研日本在来イネコアコレクション(JRC系統)におけるHWC2遺伝子の分布を再検討した.Hwc2-1の分布,遺伝子周辺のハプロタイプは分析済だが,品種分化との関係を統計的に分析してこなかった.WRC系統,JRC系統全ての材料を統一的に解析したDNA多型データを作成し,温帯日本型,熱帯日本型,インディカ,アウス,中間型に分類した.雑種弱勢を引き起こすHwc2-1遺伝子は温帯日本型に偏り,引き起こさないhwc2-2遺伝子はそれ以外の品種群に偏った.ハプロタイプ分析の結果,Hwc2-1をもつ系統は1ハプロタイプをもち,hwc2-2をもつ系統は13のハプロタイプに分けられた.そのうちの3つは13系統以上が所属する大きなグループであり,残りは6以下であった.大きなグループの構成はいずれも複数の型から成り,ゲノム全体の品種分類とは異なることが示された.
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