研究概要 |
ニュージーランドから採集したZoysia minimaの形態学的調査を行った結果、葉幅・葉長ともにZ.tenuifoliaよりもさらに小さく、葉身における維管束配列を組織学的観察した結果、葉縁はC型(左右同型)であった。Z.minimaと他のZoysia属種との種間雑種系統の葉縁は、左右同型で肥厚した機械組織が葉縁大維管束を包む流線型のC-B型であることが明らかとなった。さらに雑種系統の花粉稔性を観察した結果,80%以上の高い花粉稔性率であり,多くの花粉は正常であることが示された。また,雑種系統を圃場で展開した結果、葉幅が狭く、穂の形態も小さくなり,草姿が小型化する傾向が見られた。今後,種間交雑によって草型を小型化する方向で育種を進める場合には、Z. minimaは有効な遺伝資源であることが明らかとなった。 Z. minimaの種子に由来するカルスからの高い再分化率は、LS基本培地に2,4-Dを比較的低い濃度(0.5 および1 mg/l)で添加した培地から得られたカルスで観察された。茎頂に由来するカルスからの高い再分化率は、1 mg/l 2,4-D添加培地で形成されたカルスを、比較的低い濃度(0.5 - 2.0 mg/l)の BAを添加した再分化培地に移植した場合に観察された。本研究で、茎頂から形成されたコンパクトカルスから植物体再分化に成功し、Z. mimimaにおいて茎頂は高い再分化率もたらす外植体であることが明らかとなった。さらに再分化が確認できたカルスに重イオンビーム(2.5, 5, 10, 25, 50Gy)を照射した結果、各線量で異なった形態を示す突然変異体を誘発することができた。 さらに耐塩性が高いZ.sinicaと他のZoysia属種と交配によって得られた種間雑種を育成した結果、耐塩性程度が高く、ターフを形成する優良個体を選抜することができた。
|