研究概要 |
根こぶ病抵抗性遺伝子座Crr2が座乗すると考えられる444F2_19と314B6Fマーカー間の約18kbのゲノム領域には4つのORF(ORF1, 2, 3, 4)が推定された。ORF1は、5’側が絞り込んだ候補領域の外側に位置することから候補から外した。ORF2, 3, 4が存在する領域について、罹病性系統A9709のゲノム配列を決定し、抵抗性系統G004のゲノムと比較した。また、RACE法によって各ORFの非翻訳領域を決定するとともに、G004とA9709における発現を解析した。ORF2は、G004とA9709間で1アミノ酸のみが異なっており、何れの系統の根において発現が確認された。ORF3では、A9709において3’非翻訳領域に1.6kbの挿入があったが、G004とA9709間で10アミノ酸程度の違いはあったが、発現においても差異が認められなかった。ORF4では、A9709において5’非翻訳領域から第2エキソンの一部までの約590bpの欠失が認められた。このため、A9709においてORF4の発現は検出されなかった。ORF35おORF4が存在する領域の周辺において、G004とA9709の配列の違いが見出されたので、この2つのORFを候補とした。ORF3とORF4の全長cDNAをクローニングし、レタス・ユビキチンプロモーターの下流に連結したコンストラクトを作製し、シロイヌナズナに形質転換した。T3まで世代を進め、カナマイシン耐性の分離から、導入遺伝子がホモ型で固定した系統を複数得た。また、主動抵抗性遺伝子座であるCrr1上にあるCrr1a遺伝子のプロモーターの下流に候補ORFを連結したコンストラクトを作製するために、Crr1aプロモーターをクローニングし、その発現部位を解析した結果、Crr1aは全身で発現しており、根においては中心柱と皮層において発現していると推定された。
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