研究課題
本研究において、QTL 解析やファインマッピング,形質転換体による相補アッセイ,遺伝子発現解析などにより,耐裂莢性関連遺伝子qPDH1の候補遺伝子をフェニルプロパノイド代謝に関連する形成性操作遺伝子Pdh1に特定した。さらにPdh1のアミノ酸配列の相同性から推定される機能・機作と裂莢機構との関連を明らかにするために多面的に解析を行なった。難・易裂莢性準同質遺伝子系統(NIL)間において,Pdh1のコード領域にSNPが存在し,難裂莢性NILは終止コドンを示した。RT-PCR法を用い,Pdh1の発現を調べた結果,難裂莢NILでは発現がほとんど見られなかった。易裂莢NILでは,受粉後2週から3週目の莢において発現が確認された。莢での発現部位は柔組織と比較し厚壁組織で高く,また縫合線部位ではさらに高く発現していた。易裂莢性NILの莢においてPdh1のin situハイブリダイゼーションを行ったところ,Pdh1の発現が莢の厚壁細胞に確認された。ダイズの莢は乾燥に従って内側に捻れて捲くが、難・易裂莢性NILの莢はこの捻れ方が異なった。これは両系統間で莢の細胞壁成分が異なっていると考えらる。両NILにかかる莢のねじれの力を測定したところ,難裂莢性NILの莢に比べ易裂莢性NILの莢の方がねじれの力が強かった。またPdh1がフェニルプロパノイド代謝の形成性操作に関連する遺伝子であるため,フェニルプロパノイド関連物質に注目し細胞壁の分析を行った。難・易両NILの発達中ならびに成熟した莢から80% メタノールでフェニルプロパノイドを含む分画を抽出し,HPLC で解析をしたところ,両NIL間で異なる割合のピークが見られたが,予想される代謝産物のピークとは一致しなかった。
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ニューカントリー
巻: 62 ページ: 54-55
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻: 111 ページ: 17797-17802
10. 1073/pnas.1417282111/-/DCSupplemental