研究課題/領域番号 |
24580021
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
深山 浩 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (60373255)
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キーワード | 光合成 / 炭素固定 / ルビスコ / イネ / 多重遺伝子族 / 触媒速度 / 二酸化炭素 / 遺伝子工学 |
研究概要 |
OsRbcS1高発現形質転換イネで発現するRubiscoの酵素特性を解析したところ,触媒速度,CO2に対するミカエリス定数が増加することが分かった.よって,OsRbcS1が組み込まれることによってRubiscoが高活性型となるものと考えられた.また,Rubiscoのサブユニット構造についてblue native-PAGE等により解析したところ,形質転換イネにおいてOsRbcS1は正常にRubiscoに組み込まれていることが分かった.また,OsRbcS1が発現する葉鞘のRubiscoについてもサブユニット構造の解析を行い,非形質転換イネにおいてもOsRbcS1はRubiscoの小サブユニットとして機能していることが分かった. OsRbcS1を発現させることによってRubiscoが高活性型を高活性型に変換させることに成功したが,光合成速度は増加しなかった.現在,OsRbcS1高発現RbcSノックダウン2重形質転換イネのホモ系統を選抜中である. OsRbcS1ノックダウン形質転換イネを作出した.この形質転換イネの葉鞘を用いて代謝解析を行う予定であるが,葉鞘においてはOsRbcS1以外のRbcSも発現している.様々な条件でイネを育成したところ,イネの株元に砂を被せて部分的に黄化させた葉鞘ではOsRbcS1のみが発現し,他のRbcSはほとんど発現しないことがわかった.今後,この方法で育成した材料を用いてメタボローム解析,マイクロアレイ解析を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高発現とノックダウン形質転換イネを作出し,生理解析を進めることができた.特に,高発現イネのRubiscoで触媒速度が増加することを明らかとしたことは,非常に重要であり,世界で初めて植物が性質の異なるRbcSを使い分けていることを示した貴重な例となった. OsRbcS1の代謝における機能の解明を進めるうえで,他のRbcSの発現が低く,OsRbcS1の発現が高い材料を作成する必要があると考え,予定にしていなかったが,イネを部分的に暗処理し黄化させる実験を行った.その結果,代謝機能解析に適した実験材料の育成方法を確立することができた. OsRbcS1と相互作用するタンパク質の免疫沈降に関しては今のところ行っていない.OsRbcS1が発現し,RbcLが発現していない部位を確定させてから実験を進める予定である.
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今後の研究の推進方策 |
OsRbcS1ノックダウン形質転換イネを用いて,黄化させた葉鞘のメタボローム解析,マイクロアレイ解析を行う.また,14C-CO2の取り込みによるCO2固定活性の解析を行う.さらに,OsRbcS1が発現する器官の形態,細胞の顕微鏡観察を行う. OsRbcS1高発現RbcSノックダウン2重形質転換イネについて光合成特性,生育特性の解析を行う. 研究計画を作成した当初は予定にしていなかったが,イネ以外にもトマトやミヤコグサなどの植物種においてもOsRbcS1オーソログ遺伝子が存在することが分かった.それらの植物における,オーソログ遺伝子の機能についても解析を進める予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
英文校閲にかかる外国送金の関係銀行手数料(2,500円)が、関係会計システム上、二重に入力されていたが、事務職員がそれに気づかず、平成26年年度始めにそれに気づき削除をおこなったため。 物品費として一般試薬などの購入に使用する.
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