研究課題/領域番号 |
24580026
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
斉藤 和幸 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (00215534)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | イネ / 窒素 / Rubisco遺伝子 / 転写因子 / 転写制御 / 光合成 |
研究概要 |
ユビキチン遺伝子のプロモーターと転写因子OsDREBIGのcDNAとを連結したエフェクター遺伝子と、Rubisco遺伝子、OsRBCS3、あるいはSBPase遺伝子のプロモーターとルシフェラーゼのcDNAとを連結したレポーター遺伝子を作成した。OsRBCS3プロモーターを持ったレポーター遺伝子はエフェクター遺伝子とともにイネ葉身細胞へ導入するとルシフェラーゼ活性が高まったことから、転写因子OsDREBIGはOsRBCS3プロモーターの転写活性化因子であることが明らかとなった。一方、SBPase遺伝子のプロモーターを持ったレポーター遺伝子ではエフェクター遺伝子を同時に導入してもルシフェラーゼ活性の上昇は認められなかった。 次に、OsRBCS3プロモーター中に存在するDRE因子(5’-CCGAC-3’)を5’-TTTTC-3’に置換したプロモーターとルシフェラーゼのcDNAを連結したレポーター遺伝子をエフェクター遺伝子とともにイネ葉身へ導入した。OsRBCS3プロモーター中に存在する2つのDRE因子の内、1つでも置換するとルシフェラーゼ活性の上昇は認められなくなったことから、転写因子OsDREBIGはOsRBCS3プロモーター中のDRE因子に作用して転写を活性化していることが明らかとなった。 続いて、大腸菌で生産させたOsDREBIGタンパク質とOsRBCS3プロモーターとのゲルシフトアッセイを行ったところバンドのシフトが認められ、OsDREBIGが直接OsRBCS3遺伝子の転写を活性化していることが明らかとなった。 さらに、NH4NO3濃度を低下させるとOsDREBIG及びOsRBCS3の発現レベルが低下した。 以上の結果より、窒素レベルの低下に応答して転写因子OsDREBIGのレベルが低下することによりOsRBCS3遺伝子の発現レベルの低下が引き起こされることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
転写因子OsDREB1GがRubisco遺伝子、OsRBCS3、の転写活性化因子であり、窒素レベルの低下に応答して転写因子OsDREBIGのレベルが低下することによりOsRBCS3遺伝子の発現レベルの低下が引き起こされることが示されたことから、本年度の研究目的はおおむね達成できた。しかし、SBPase遺伝子については予想に反して転写因子OsDREB1Gによる転写の活性化が認められなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
1. Rubisco遺伝子、OsRBCS3、のプロモーター中に存在する2つのDRE因子(塩基配列 5’-CCGAC-3’)の一つあるいはすべてを5’-TTTTC-3’に置換したプロモーターについて、転写因子OsDREB1Gタンパク質との結合をゲルシフトアッセイにより検討し、転写因子OsDREB1Gはプロモーター中のDRE因子を認識して結合していることを明らかにする。 2. カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターの下流に緑色蛍光タンパク質と転写因子OsDREB1GのcDNAを連結したプラスミドを作成し、パーティクルガンを用いてタマネギ鱗葉の表皮細胞へ導入する。細胞核からのみ緑色蛍光が検出されれば転写因子OsDREB1Gタンパク質は転写因子として働くために必要な核移行能力を持つことが明らかとなる。 3. SBPase遺伝子については、転写活性に及ぼす転写因子OsDREB1D及びOsDREB1Eの影響を明らかにする。 4. 0.5 mM 硝酸アンモニウムを含む水耕液で発芽後14日間栽培した苗を0 mM 及び0.5 mM に調整した水耕液に移し、第3葉葉身の窒素含量、転写因子OsDREB1G及びOsRBCS3のレベル、光合成速度、蒸散速度を4日間ごと16日間経時的に測定する。この実験により、窒素レベルの低下に応答して転写因子OsDREB1Gのレベルが低下することによりOsRBCS3のレベルと光合成能力の低下が引き起こされることを明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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