研究課題/領域番号 |
24580028
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
牛木 純 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター・水田作研究領域, 主任研究員 (40307682)
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研究分担者 |
林 怜史 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター・水田作研究領域, 研究員 (20508262)
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キーワード | イネ / 越冬性 / 初冬播種 / 大規模水田作 / 休眠性 / 土壌条件 / 脱粒性 / メタボローム |
研究概要 |
<試験1>野外条件下での越冬性評価(圃場試験):平成24年初冬に品種・系統「大地の星」「冬越し」を、北海道農業研究センター(札幌市)の水田圃場に埋設した。平成25年4月中旬にこれらを回収し、種子の発芽能力を調査した。その結果、休眠打破しない「冬越し」で約40%の生存を確認した。<試験2>恒温器条件下での越冬性評価:恒温器内の仮想越冬条件での上記品種・系統の生存率を調査した。その結果、+5℃、30%土壌水分以上、約40日間の条件で生存率の品種間差を再現できることが明らかになった。<試験3>低温発芽性と休眠性に及ぼす品種・系統と生育温度の影響:札幌市と石垣市で栽培した北海道品種の休眠性の差違を評価した。その結果、札幌で栽培した場合と異なり、石垣で高温登熟した北海道品種には一定の休眠性が確認された。<試験4>「ほしのゆめ」「冬越し」との交配後代の農業特性の評価:主に脱粒性に着目し、上記RIL(組替自殖系統)F8の農業特性を評価した。その結果、触手で確認した脱粒性と脱粒性遺伝子qSH1(Konishi et al. (2008))の関係がほぼ一致した。<試験5>「冬越し」「ほしのゆめ」の発芽時代謝産物のメタボローム解析:発芽の初期段階(~5日)でのメタボローム解析をLC/MSでおこなった。その結果、「発芽温度」<「経過時間」<「品種」の順に代謝産物の動態が大きく異なることなどが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
イネ品種「ほしのゆめ」と「冬越し」のF8種子(RIL約160系統)の越冬性評価を、登熟温度、休眠打破の有無、3反復を含めた試験(約2000サンプル)を現在進めている。申請者の知る限り、イネの越冬性評価を本試験規模で行った事例はない。「冬越し(白)」×「ほしのゆめ」RIL系統(2013年、F8世代、167系統)の脱粒性遺伝氏qSH1(Konishi et al. (2008) Plant Cell Physiol. 49, 1283-1293)の遺伝子型と脱粒性の関係を明らかにした。「冬越し」「ほしのゆめ」の発芽時代謝産物のメタボローム解析の結果、低分子化合物ではGABA(γ-aminobutyric acid)が、他の低分子代謝産物とは異なる増減をパターンを示すことを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
越冬性評価は継続して進める。メタボローム解析はより広範囲の成分をCE/MSを用いて解析予定(ホルモン様物質(ABA等)が解析可能に)。現在の試験が順調に進めば、「冬越し」と「ほしのゆめ」間の判別マーカーも準備済みなので、QTL解析までは可能と考えられる、メタボローム解析の結果にもよるが、できればマイクロアレイ解析まで進めたい。研究費の残額によって検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額52,170円は、研究費を効率的に使用して発生した残額である。 種子発芽の極初期段階での遺伝子発現の品種間差に係るマイクロアレイ 解析費用に充当する予定。
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