研究課題/領域番号 |
24580028
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
牛木 純 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター水田作研究領域, 主任研究員 (40307682)
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研究分担者 |
林 怜史 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター水田作研究領域, 研究員 (20508262)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 北海道水稲品種 / 越冬性 / 休眠性 / メタボローム / 玄米果皮色 / 高温登熟 |
研究実績の概要 |
北海道在来水稲系統「冬越し」と一般品種「ほしのゆめ」との交配後代RIL-F9を、水田圃場に冬期間埋設し、越冬率を評価した結果、1処理で越冬率80%以上であった。上記交配後代のうち、果皮色「赤」の系統は、他に比べての越冬率が有意に高かった。「冬越し」および「ほしのゆめ」について吸水前後のメタボローム解析を行った結果、吸水開始0から3日目における代謝物含有量の変化で特徴的だったのは4-アミノ酪酸であった。北海道向けイネ品種を札幌市および石垣市で栽培し、採取直後の休眠性を調査した結果、札幌産種子よりも石垣産種子で休眠性が高いことが再確認された。 3年間を通じた研究から、寒地における水稲初冬直播を念頭においた種子の越冬性について以下の事が明らかとなった。1.実用性に耐えうる越冬性(越冬率80%以上)を持つ系統が選抜された、2.生理・形態的特徴と越冬率の関係から、越冬性に関わる遺伝子は玄米果皮色の赤色に関わる遺伝子(RcRd)の近傍に位置する可能性が示唆された。また、越冬性は脱粒性等の生理・形態的形質とは関連性が低いことを確認した、3.種子の吸水直後における代謝産物量の遷移から4-アミノ酪酸(GABA)が越冬性の差違に関わる指標となる可能性が示唆された、5.北海道の一般栽培水稲品種を暖地(石垣市)で生育させると寒地(札幌市)よりも休眠性が深まることから、栽培条件で種子の越冬性を操作できる可能性が示された、6.種子の埋土時期・深度等の越冬性に及ぼす影響は、系統・品種の差違の影響に比較すると極めて小さかった。7.越冬率の品種間差をインキュベーター内で再現する条件を見いだした。 以上の結果から、選抜された系統を母本として、水稲初冬播種が可能な品種の育成が期待される。また、QTL解析等によって、越冬性に関わる遺伝子座の同定を今後試みる。
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