近年、農家の高齢化と離農に伴い、稲作経営の大規模化および水稲直播栽培が拡大している。直播栽培は、移植栽培より省力化となるが、春期に作業が集中し、規模拡大の障害となっている。そこで、本研究では水稲播種を作付前年の初冬期に行う作業体系(水稲初冬直播)の実現を目指して、北海道の良食味水稲品種「ほしのゆめ」および在来系統「冬越し」の交配後代(RIL、F9、168系統)から、越冬率最大80%以上の有望系統群を見出した。これらの有望系統は玄米果皮色を持つ「赤米」が多く、脱粒性とは無関係であった。一方、播種時期や播種深度などの耕種的工夫では、一般水稲品種で実用的な越冬率を得ることはできなかった。
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