研究課題/領域番号 |
24580034
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
森本 淳子 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50338208)
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研究分担者 |
小川 健太 酪農学園大学, 農学生命科学部, 准教授 (10533177)
三島 啓雄 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 研究員 (60534352)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 里山林 / 人工林 / 生態系サービス / GIS / シナリオ分析 |
研究概要 |
燃料・肥料革命を経て、少子・高齢化、農山村過疎化のいま、里山林・人工林からの賢明な撤退の道筋を描くことが現代日本の重要課題である。自然資源の生態系サービスは、通常「存在すること」によって得られるプラス面のみ評価される。しかし、人が作り出してきた生態系、里山林や人工林にはその評価軸は適さない。なぜなら、利用の低減により自然林にはなかった負の生態系サービス (リスク)が生じているからだ。里山林の放置は 野生動物とヒトの軋轢(あつれき)を招き、手入れされない過熟人工林は災害を増幅させる場合がある。 本研究は、北海道全域を対象に、1)里山林・人工林の放置が引き起こすリスクの実態解明、2)実態のモデル化と高リスク地域の抽出、3)里山林・人工林からの撤退シナリオを技術の提案と共に描くことを目的とする。平成24年度は、とくに1)の人工林の放置リスクの実態解明に取り組んだ。具体的には、以下の手順による。 ①モデル地域の選択 人工林の強風への脆弱性を評価するため、2004 年の台風19 号で道内の人工林と天然林に生じた大規模な倒壊地が発生した地域を探索した。北海道道有林および、北大研究林の集積したデータに当たり、条件にあう林分を抽出した。その結果、道有林5林分と北大雨龍研究林を対象地とすることとした。 ②リモートセンシングデータの発注 道有林(人工林4林分、天然林1林分)について、2004年の台風前後に撮影された空中写真および衛星画像(ASTER)を検索し、発注した。北大雨竜研究林(天然林1林分)については、研究林保有の空中写真および衛星画像(IKONOS)の利用許可を得た。 ③風倒地の抽出 空中写真の実体視により、対象地の森林倒壊部分の抽出、GISデータ化を行った。道有林4林分については、作業が完了した。残り、道有林1林分および天然林1林分について、抽出作業を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究期間途中で産休・育休により研究の中断を余儀なくされたため、予定していた目的に照らすと達成がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
H26年度に研究を再開し、完了できなかったH24年度(1年目)計画の後半と2年目計画を遂行する。その後は、当初計画を2年遅れで遂行する。 ・H26年4月~H27年3月 1年目計画後半+2年目計画 ・H27年4月~H28年3月 3年目計画 ・H28年4月~H29年3月 4年目計画 再開後は、まず、H24年度の研究実績の概要③の完了ののち、以下の手順で進める。 ④環境および施業履歴の整理 地形要因と生物要因をGIS で抽出する。地形要因は10m DEMから標高、傾斜、地形(尾根・谷)、斜面方位を算出する。生物要因は、森林調査簿から、立木本数、針広混交率、周囲の森林との異質性)を算出する。 ⑤風倒地の発生要因の解析 倒壊しやすい地形的(斜面方位や傾斜)・生物的(林分の空間構造や周辺林分との類似性)条件が人工林と天然林でどのように異なるかを明らかにする。これらの要因が、人工林と天然林の倒壊地の発生にどの程度関与しているのかを、GLMM(一般化線形混合モデル)により明らかにする。この結果から、人工林と天然林の倒壊要因の違いが明らかになる。その後、目的1)の里山林の放置リスクの実態解明、目的2)実態のモデル化と高リスク地域の抽出、3)里山林・人工林からの撤退シナリオを技術の提案と共に描く、に取り組む。
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次年度の研究費の使用計画 |
育休のため平成25年度に執行予定はない。
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