研究課題/領域番号 |
24580034
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
森本 淳子 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50338208)
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研究分担者 |
小川 健太 酪農学園大学, 農学生命科学部, 准教授 (10533177)
三島 啓雄 独立行政法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 准特別研究員 (60534352)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 人工林 / 天然林 / 風倒リスク / ヒグマ / 安定同位体 |
研究実績の概要 |
・人工林におけるリスク評価:対象とする調査地を、これまで道有林のみに絞っていた研究対象地を国有林にまで広げ、人工林4か所と天然林4か所の合計8カ所とした。国有林の森林簿を入手し、データ整理を行った。また、これまで考慮できなかった風況についても他機関の協力を得て入手し、プレ解析を行った。その結果、最大風速や風速の最頻値などの風況は、林齢の次に風倒発生に対して大きな影響力をもつことが明らかになった。ただし、風況データの有無は、モデルの推定精度を大きく上げるものではなかった。 ・里山林におけるリスク評価:各地の博物館や郷土資料室、北海道大学北方生物圏フィールド科学センター植物園内の博物館、北海道立総合研究機構環境科学研究センターなどから入手したヒグマの骨資料を利用し窒素・炭素・硫黄の同位体分析を行い、道南と道東の古代~現代のヒグマの食性を明らかにした。道東地域ではサケの利用割合が19% (古代)から8% (現代)まで減少し、陸上動物(エゾシカや昆虫)の利用が64%から8%にまで減少した。道南地域では陸上動物の利用割合が56% (古代)から5% (現代)まで減少していた。農作物(C4植物)利用は現代ヒグマの特徴であること、道東でとくに利用割合が高いことが明らかになった。今後、とうもろこしの作付面積や地理条件による影響を分析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人工林のリスク評価について、若干遅れ気味であるが、ほぼ順調に進んでいる。遅れの主要因は、空中写真や森林簿などのデータ入手に時間を要したこと、森林簿の内容が地域により大きなばらつきがあり、補正に時間を要していることである。里山林のリスク評価については、若干遅れ気味である。遅れの主要因は、安定同位体分析の結果が出そろうのに時間を要し、リスクモデル構築に取り掛かれなかったためである。
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今後の研究の推進方策 |
人工林のリスク評価については、新たなモデル構築にむけて、他研究機関の協力を得ることにした。ロジスティック回帰モデルでは低迷した風倒地予測の推定精度を、機会学習法によるモデル構築により、向上をはかる。 里山のリスク評価については、GIS解析の専門家に協力を得て、環境情報の収集と整理にかける時間を向上させる予定である。農作物(C4植物)利用割合が、ヒグマ側の要因(性別や齢)で決まっているのか、環境(とうもろこしの作付面積や人口密度)で決まっているのかを分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
・データの入力およびチェックを研究協力者へ依頼していたが事前の見積もりよりも作業が早く終了したため。 ・今年度対象地とした空中写真の判読結果が想定より良好であったため、現地調査の参加メンバー、実施期間を最小限度に抑えることができた。
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次年度使用額の使用計画 |
・次年度以降に、追加の環境情報整備、現地調査、モデル開発にむけた協力依頼が生じるため、研究協力者へ向けた謝金や物品費の購入に充てる予定である。
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