本研究は,福島県岩瀬郡鏡石町桜町222番地に存在する「岩瀬牧場」を対象とし,農牧畜業の近代化産業遺産としての価値と現状における問題点を調査し,今後の保全のあり方に関する知見を得ることを目的とした。そのため,岩瀬牧場および東北開拓に関する文献・資料を調査した。さらに牧場の運営状況・土地利用・景観・歴史的建造物・産業機械類・植栽・展示資料などの現況実測調査を行った。その結果,岩瀬牧場は日本最古の西洋式官営牧場であり,それを示す資源が現存しているが,それら資源が有効に活用されておらず様々な問題点が抽出された。それを改善する地域再生デザインを具体的に提案し,地元において持続的な保全活動を開始した。
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