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2012 年度 実施状況報告書

シクラメンの青色花発現機構の解明とそれを活用した遺伝資源開発

研究課題

研究課題/領域番号 24580044
研究種目

基盤研究(C)

研究機関香川大学

研究代表者

高村 武二郎  香川大学, 農学部, 教授 (40253257)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードシクラメン / 花色 / 花色素 / アントシアニン / pH
研究概要

まず,青紫色花系統各個体の主要花色素を調査した結果,ほとんどの個体の主要アントシアニンは,マルビジン3,5ジグルコシド(Mv3,5dG)であった.このMv3,5dGは,多くの紫色花シクラメンの主要アントシアニンであり,これらの品種とMv3,5dGを主要花色素とする青紫色花系統各個体との間では,花色に明確な違いが認められたにもかかわらず,花弁中のアントシアニン組成はほぼ同様であった.また,青紫色花系統各個体では,開花後に花弁中のアントシアニンが大きく減少し,明らかな花弁の退色が認められたが,紫色花品種では,アントシアニンの減少は小さく花色にも大きな変化は認められなかった.
次に,既存の赤,白,ピンクおよび紫色花品種と青紫色花系統各個体の花弁のホモジネートのpHを調査したところ,前者ではpH4前後またはそれ以下であったのに対し,後者ではpH6前後であった.そこで,紫色花品種‘KNパープル’と青紫色花系統の花色素ならびにMv3,5dG標品をpH4または6の酢酸バッファーに溶解し,その吸光度を分光光度計で調査した結果,いずれにおいてもpH6のバッファーで抽出した場合に極大吸収波長の値が大きくなる,すなわち青みを増す傾向が認められた.これらのことから,青紫色花系統各個体の青みが強い花弁は,花弁細胞内の高いpHにより生じているものと示唆された
さらに,青紫色花系統各個体の葉身のホモジネートのpHを調査した結果,既存の赤,白,ピンクおよび紫色花品種の葉身のホモジネートのpHより有意に大きな値となり,開花前に花弁細胞のpHが高い個体を選抜できる可能性が示唆された.なお,青紫色花系統と野生種との交雑を試みた結果,青紫色花系統では1株あたりの開花数が他品種より少ないため,すでに報告されている種間雑種作出法の逆交雑,すなわち野生種を種子親とした種間交雑を検討する必要があると思われた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は,A)シクラメンの花弁の青色化機構の解明,B) シクラメン花弁の青色花形質の遺伝様式の解明,C) ゲノムが異なる種間雑種における花弁の青色花形質の発現と遺伝資源開発の可能性の探索,であり,本年度はこのうちA)とC)に関する実験を行った.A)に関しては,花弁の青色化がpHによることを明らかにするとともに,葉身のpHから青色身の強い個体の幼植物選抜の可能性を示すなど,予定以上の成果が得られた.一方,C)に関しては,新たに明らかとなった青紫色花系統の少ない開花数による種間雑種作出法の再検討の必要性など,種間雑種作出には至らなかったものの,今後の研究進展に必要な知見が得られた.これらのことを総じて上記のように判断した.

今後の研究の推進方策

A)シクラメンの花弁の青色化機構の解明に関しては,本年度で予定以上の成果が得られ,pHが花弁青色化の主要因と考えられたことから,pHに関与している遺伝的要因の可能性を検討するとともに,青色化に関与するpH以外の要因の存在の可能性を検討する.
B) シクラメン花弁の青色花形質の遺伝様式の解明,に関しては,F1個体の花弁の分析を行い,雑種第一代での花弁青色化発現の有無を調査する.
C) ゲノムが異なる種間雑種における花弁の青色花形質の発現と遺伝資源開発の可能性の探索については,本年度の結果を鑑みて,種間雑種作出法の再検討を行うとともに,併せて種間雑種の倍加法を検討する.

次年度の研究費の使用計画

本年度は,ほぼ予定通りに実験の遂行,予算の執行が行われ,次年度に回される額は,各物品等の価格変動等により生じたごくわずかである.用途としては物品費として用いる予定である.また,次年度の実験計画に予算執行に変更を及ぼすような変更はない.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] シクラメンの花と葉の色素発現およびpHの相関関係2013

    • 著者名/発表者名
      高村武二郎,濱田成一,鹿毛哲郎
    • 学会等名
      園芸学会
    • 発表場所
      東京農工大学
    • 年月日
      20130323-20130324

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公開日: 2014-07-24  

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