研究課題/領域番号 |
24580044
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
高村 武二郎 香川大学, 農学部, 教授 (40253257)
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キーワード | シクラメン / 花色 / 花色素 / F1 / pH / 青紫色花 |
研究概要 |
既存の園芸品種・系統とマルビジン3,5ジグルコシド(Mv3,5dG)を主要アントシアニンとする青紫色花シクラメン個体とのF1個体における花弁形質の遺伝性の解析を試みた結果,F1個体の花弁の大きさは,ほとんどの個体で両親より大きい値を示した.また,いずれのF1個体においても,青紫色花を有する個体は認められず,花色・花色素ともに,青紫色花シクラメン個体ではなく,Mv3, 5dGを主要アントシアニンとする紫色花品種を交雑に用いた場合に得られるF 1個体と同様の発現が認められた.さらに,調査したすべてのF1個体において,花弁のホモジネートのpHは 3.5~4.2と既存の園芸品種と同様の値を示し,pHの値が 6前後の青紫色花系統のような高いpHの値を示す個体は認められなかった.これらのことから,シクラメンにおける花弁細胞内の高いpHにより花弁が青色化する形質は優性形質ではなく,青紫色花系統とその他の園芸品種との交雑で得られたF1個体では青紫色花形質の発現は期待できないことが明らかとなった.また,高いpHが花弁の大きさに影響する可能性も示された.なお,シクラメンの花弁の青色化について,青紫色花系統以外の品種でも,通常のアントシアニンによる花色発現と比較して青色化が起きている可能性が示唆された. 野生種を種子親として青紫色花系統との交雑を試みた結果,胚珠培養を行っても種間雑種個体を得ることはできなかった.シクラメンにおいて野生種を種子親にして,園芸品種と交雑した場合に雑種が得られた報告は見当たらないことと,青紫色花系統と他の園芸品種とのF1個体に青紫色花を有する個体は認められなかったことから,シクラメン種間雑種における青紫色花個体の作出は容易ではないことが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は,A)シクラメンの花弁の青色化機構の解明,B) シクラメン花弁の青色花形質の遺伝様式の解明,C) ゲノムが異なる種間雑種における花弁の青色花形質の発現と遺伝資源開発の可能性の探索,である.A)に関しては,pH以外にコピグメント等が青色化に影響している可能性が示唆された.B)に関しては,青紫色花系統とその他の園芸品種との交雑で得られたF1個体では青紫色花形質の発現は期待できないことが明らかにできるとともに,pHが花色だけでなく花弁の大きさに影響する可能性を示すなど予定以上の成果が得られた.一方,C)に関しては,種間雑種における.青紫色花個体の作出は容易ではないことが示唆され,ネガティブではあるが重要な知見が得られた.これらのことを総じて上記のように判断した.
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今後の研究の推進方策 |
A)シクラメンの花弁の青色化機構の解明に関しては,24年度で予定以上の成果が得られ,pHが花弁青色化の主要因と考えられたことから,青色化に関与するpH以外の要因の存在の可能性を検討する. B) シクラメン花弁の青色花形質の遺伝様式の解明,に関しては,25年度にF1個体の花色・花色素発現が明らかにできたことから,26年度は,F2個体の花弁の分析を行い,花弁青色化の遺伝性を調査する.
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は,ほぼ予定通りに実験の遂行,予算の執行が行われたが,各物品等の価格変動により,ごくわずかの額であるが次年度に回すこととなった. ごくわずかの額の繰り越しであるが,物品費として使用予定である.
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