研究課題/領域番号 |
24580046
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
山本 雅史 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (00305161)
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研究分担者 |
高田 教臣 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, その他部局等, 研究員 (50355369)
山本 俊哉 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, その他部局等, その他 (60355360)
清水 徳朗 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, その他部局等, その他 (90355404)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 染色体 / ゲノム / ナシ / カンキツ / FISH / BAC-FISH / 遺伝子 / 不和合性 |
研究実績の概要 |
本年度は原品種と同じ遺伝子型を備える葉を材料とした染色体分析法の確立およびナシの重要形質である自家不和合性遺伝子の染色体上での位置の検出を目的として研究を進めた。 長さが約1から2cmの幼葉を材料とした酵素解離法による染色体標本作製の最適条件は以下の通りであった。酵素組成は4%セルラーゼオノズカRS、1.5%マセロザイムR200および0.3%ペクトリアーゼY-23で、処理温度は37℃、酵素処理時間は60から75分。この条件で1スライドガラス当たり約10個の染色体標本が観察できた。上記の条件で作製した染色体標本を用いて18S-5.8S-25S rDNA遺伝子のFISHを実施すると、rDNA 遺伝子は,6本の染色体の端部に確認できた。これは幼若実生の根端由来の染色体標本における結果と一致した。 昨年度に用いた自家不和合性遺伝子のプローブには反復配列が含まれており、自家不和合性遺伝子とは別の部分に存在する反復配列遺伝子とハイブリダイズしてしまい、多数のシグナルが観察されたので、今年度は反復配列を含まないプローブを用いて染色体上での自家不和合性遺伝子の検出を試みた。プローブにゲノム上の他の部位に相同性の高い配列が含まれないことはBLAST検索によって確認した。しかしながら、いずれのプローブも全長が約2000bp以下と極めて短くなってしまった結果、蛍光シグナルが極めて微弱になってしまい、再現性のある明瞭なシグナルを検出することは困難であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ナシにおいては、自家不和合性遺伝子の染色体上での検出にはまだ成功していないものの、新規の様々なプローブを開発しており、検出の可能性が高くなった。さらに、従来の実生根端でなく、原品種と同じ遺伝子型である葉を材料としたFISHに成功したことは、今後の研究の進展に大きく貢献する。 一方、カンキツにおいては有効なBACクローンの作製がまだ実施できていない。 以上のことから、総合的には(3)と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
ナシの自家不和合性遺伝子の検出においては既に様々なタイプのプローブが準備できているので、それらを用いてFISHを行う。 また、ナシと極めて近縁でゲノム情報が豊富なリンゴの染色体を解析することによって、ナシの染色体およびゲノム研究の進展を図る。 カンキツにおいては各連鎖軍に対応するBACクローンを用いたFISHを実施し、連鎖地図と染色体地図との対応関係の解明を目指す。
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