研究概要 |
常緑性白花ツツジ(ミヤマサツキ)と落葉性黄花ツツジ(キレンゲツツジ)との亜属間交配で得られたF1個体の黄花色退色化現象の要因を明らかにするために,今年度は花弁発育に伴うカロテノイド含量の変化およびカロテノイド成分の遺伝について調査した.まず,開花前日の花弁には,キレンゲツツジで30μg/gFW,ミヤマサツキで1μg/gFW,F1でその中間の10μg/gFWのカロテノイドが含まれていた.色素組成は,キレンゲツツジでβカロテン,ルテインが主要色素であり,ミヤマサツキではルテインが多かったもののβカロテンはほとんど含まれていなかった.F1は,両親の中間の色素組成を示した.花弁発育に伴い,キレンゲツツジでは色素含量および組成の変化はみられなかったが,ミヤマサツキおよびF1では含量が低下し,開花5日後にはほとんどなくなった.また,F1では発育に伴い,キサントフィル類の割合が増加した. 次に,degenerate PCRおよび5',3'-race法を用いてカロテノイド生合成および開裂(分解)に関与する遺伝子の単離を試みた.現在までのところ,F1の開花前日花弁より,開裂酵素CCD1の全長配列,およびキレンゲツツジ開花花弁よりカロテノイド合成に関与する遺伝子のうちIPI, DXS, GGPS, PSY,PDS,CRISTO, LCYB, HYBの部分配列を単離した.
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