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2012 年度 実施状況報告書

ピーマン着果、肥大性を向上するための生理、育種学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 24580048
研究種目

基盤研究(C)

研究機関前橋工科大学

研究代表者

本多 一郎  前橋工科大学, 工学部, 教授 (00241852)

研究分担者 今西 俊介  独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, その他部局等, 研究員 (50343976)
松永 啓  独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, その他部局等, 研究員 (90355339)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードピーマン / 単為結果 / 肥大
研究概要

本研究課題では、すべての研究期間において、研究計画①ピーマンの着果、果実肥大に関わる生理学的要因の解明および、研究計画②単為結果性素材「CNPH2622」の有望性の把握の2本立てとして実施する。
研究計画①では、4種類のピーマン「CNPH2622」、「California Wonder」、「ししとう」および「INT/RUSSIA/2001/1579」の単為結果、肥大様式を比較し、これらの系統の示す基本的特性を確認した。また「ししとう」、「INT/RUSSIA/2001/1579」の柱頭切除果にホルモン処理すると、ジベレリン(GA)やオーキシン類よりも合成サイトカイニン(CK)の処理により、果実がもっとも肥大することが明らかになった。ピーマン果実内生ホルモンでは、CKとしてt-ゼアチン、t-ゼアチンリボシド、オーキシンとしてインドール酢酸、GAとしてGA19, GA20, GA1を同定した。
この結果を受け、トマトで明らかにした配列情報を用いて、The Gene Index Project、SOL Genomics NetworkおよびGenBankのユニジーンデータベースをtblastプログラムによって検索し、ピーマン類のCK生合成、代謝関連遺伝子情報を8個獲得した。これらについて、ピーマンにおける発現部位を予備的に明らかにした。
研究計画②では、上述のピーマンを盛夏期および厳冬期に温室で栽培し、柱頭切除および放任受粉により、その単為結果、肥大様式を詳細に比較した。盛夏期は「ししとう」以外はほとんど単為結果しなかった。厳冬期は「ししとう」に加え、「CNPH2622」、「California Wonder」が単為結果したが、その頻度は低く、果実の肥大はやや劣っていた。すなわち、「CNPH2622」の単為結果性は厳冬期に発揮されるするが、その発現率はやや低いことが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画①において、まず実施を予定した着果特性の解析については、4種類のピーマンの肥大様式を比較、調査することができた。その着果、肥大特性には季節による変動があるものの、これらの系統の特性が想定していたとおりであることが判明した。すなわち、次年度研究を実施するために支障がないことが明らかとなった。
一方、種々のホルモン処理実験では、ナス、トマトなど、他のナス科作物で単為結果誘発や、果実肥大に効果のあるジベレリンやオーキシン類よりも、サイトカイニンがピーマンにおいてもっとも効果のある可能性が示された。特に「INT/RUSSIA/2001/1579」は、未受粉では石果実しか形成しないが、この石果実にサイトカイニン処理を行うと果実肥大が認められるため、本系統はピーマンの果実肥大研究に役立つことが明らかとなった。また、ピーマン果実内に実際に存在するジベレリン、オーキシン、サイトカイニンの分子種も明らかとなり、次年度研究を実施する環境が整った。
関連遺伝子の解析の準備では、これらの結果を受け、サイトカイニン関連遺伝子に着目し、公開されているデータベースを検索し、8遺伝子について情報を得た。ピーマンはゲノム解読が行われていない作物であるため、データベースの登録情報数が少なく、得られた情報も限られたものとなったが、他のナス科作物などの情報と併せて本計画に必要な情報は得られたので、次年度計画の実施に支障はないと考えられる。
研究計画②においては、「CNPH2622」が保有する単為結果性は、盛夏期には認められず、厳冬期には認められたがその頻度は低かった。このため、遺伝解析等の試験は春夏期または秋冬期に実施した方が良いと考えられた。また「CNPH2622」の単為結果性の遺伝解析のため、野菜茶研保有の雄性不稔系統「トウガラシ中間母本農1号」等との交配を行った。

今後の研究の推進方策

研究計画①においては、今年度の研究結果を踏まえ、使用した4系統のピーマンを栽培し、その受粉、未受粉状態の果実を作成、継時的に採取し、その内生植物ホルモン類の動態を幅広く解析する。
また、植物ホルモン投与試験においては、ひきつづき「INT/RUSSIA/2001/1579」および「ししとう」を使用し、今年度の結果の再現性を確認するとともに、サイトカイニン類の効果については、複数の薬剤を用いて、その濃度反応性などの詳細を解析する。
これまでの研究から、サイトカイニン類の果実肥大への関与が予想されている。そこで、その生合成遺伝子の発現を解析するため、その遺伝子断片の単離を開始する。投与試験、分析等でサイトカイニン以外のホルモンが肥大に関与する可能性が出てくれば、その生合成遺伝子に関する情報検索を行ったのち、発現解析を行う準備を進めていく。
研究究計画②では、前年度の特性調査を追試するとともに、交配した系統の世代を進め、その集団を用いて「CNPH2622」が保有する単為結果性の発現様式を解析する。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Identification of pepper (Capsicum annuum L.) accessions with large or small fruit that have a high degree of parthenocarpy2012

    • 著者名/発表者名
      I.Honda, H. Matsunaga, K. Kikuchi, S. Matsuo, and M. Fukuda
    • 雑誌名

      Scientia Horticulturae

      巻: 135 ページ: 68-70

    • DOI

      doi 10.1016/j.scienta.2011.12.014

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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