研究実績の概要 |
ニホンナシを対象に、秋の休眠導入期から開花期(2014年10月から2015年4月)にかけて青色光、赤色光、遠赤色光をLED光源により夜間連続照射し、花芽の休眠ステージ進行や耐凍性強度に及ぼす影響を検討した。その結果、花芽が枯死する限界温度を指標とした花芽の耐凍性強度、および凍結した枝組織からの電解質漏出率を指標とした枝の耐凍性強度については、ともに光照射による一定の傾向が認められなかったことから、光照射は耐凍性強度にほとんど影響しないと考えられた。一方、10月から自発休眠覚醒期まで屋外で光照射し、その後加温して強制的に萌芽させた場合の開花率は青色光照射樹で高く、遠赤色光照射樹で低くなったことから、光照射は自発休眠覚醒に影響を与えるものと考えられた。さらに開花期まで連続して屋外で光照射した場合の開花率や開花時期は光の種類により変化しなかった。 また、休眠ステージおよび耐凍性の進行は遺伝的プログラムに基づき制御されていると考えられるが、これらの進行に与える光の影響をより適切に評価するため、開花関連遺伝子(FT、TFL1等)、休眠関連遺伝子(Dormancy Associated MADS等)、および低温感応関連遺伝子(CBF等)の発現変化を調査した。前年度までの結果と異なり、花成に関連するFT, LFY, Apetala1の遺伝子発現に光照射の影響は認められなかった。
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