枝変わりを利用したカンキツの改変技術は農業上重要な手法であるがその変異発生機構は不明である。そこで突然変異発生機構の解明を目的に温州ミカン5系統の全塩基配列情報を解読し、系統間で変異を示すと思われる候補を数万件見いだした。変異発生の主因は複製時エラーと考えられ、検出された変異候補の大部分は非遺伝子領域に見いだされた。このうち遺伝子領域の複数の変異に注目したところ、それらは新たな変異系統や珠心胚実生でも見いだされて保持されていた。以上から、突然変異は組織内で高頻度で発生しており、消失する変異細胞もある一方で一部は組織全体を置換するにいたり、その後は安定して維持されると考えられた。
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