研究実績の概要 |
これまで, Nicotiana benthamiana (Nb)におけるCucumber mosaic virus (CMV)-Turnip mosaic virus (TuMV)間の局部干渉には, サリチル酸関連抵抗性の分子機構とCMVの2b遺伝子機能が関与することを明らかにした. 今年度は, CMV-TuMV間の局部干渉とウイルスRNAの蓄積量との関連性を相対定量PCRで解析した. 先ず, サイレンシングサプレッサー機能を保持している2bを発現できるDsRed2発現CMV(A1Ds)とEGFP発現TuMV(TuEG)を, Nbおよび内在性サリチル酸が分解される形質転換Nb (NahG Nb)に同時混合接種し, 両ウイルスRNA蓄積量を測定した. その結果, 接種9日後における混合感染個体ではウイルスRNA蓄積量が単独感染個体のそれと比べてA1Dsでは増加し, TuEGでは減少した. 次に, NahG Nbにおいて明瞭に局部干渉が緩和される組み合わせであるDsRed2発現2b欠損CMV(H1Ds)とTuEGをNbおよびNahG Nbに同時接種し, 両ウイルスRNA蓄積量を測定した. その結果, 接種9日後の混合感染個体におけるウイルスRNA蓄積量は, 単独感染個体のそれと比べてH1Dsでは増加し, TuEGでは同程度のレベルであった.以上の結果から, 同時混合感染時のCMV-TuMV間の局部干渉における2b遺伝子発現と, TuMVのRNA蓄積量の減少との間に関連性が示唆された. また, 2b遺伝子N末端側から18番目のアミノ酸配列がCMVが感染宿主に誘導する病徴の強弱に深く関与していることも明らかにした.
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