研究課題/領域番号 |
24580078
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山本 幸治 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00346834)
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研究分担者 |
鈴木 守 大阪大学, たんぱく質研究所, 准教授 (40280507)
有竹 浩介 公益財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 研究員 (70390804)
東浦 彰史 大阪大学, たんぱく質研究所, 助教 (90598129)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 応用昆虫 |
研究概要 |
平成24度は,カイコ由来prostaglandin E synthase (PGES)組換えタンパク質を硫安分画,陰イオン交換クロマトグラフィーそしてゲル濾過クロマトグラフィーの各手法を用いて電気泳動的に均一に精製した.製紙後に,prostaglandin E(PGE)合成活性を酵素速度論的に解析した.[14C]PGHを基質とし,薄層クロマトグラフィーにより分析したところ,PGESはグルタチオン(GSH)存在下にて,PGEを合成した.一方,PGDならびにPGFの合成は見られなかった. 次に,sitting-drop蒸気拡散法によりnative-PGESならびにPGES-GSH複合体の結晶をそれぞれ作製することに成功した.これら結晶を用いてSPring-8においてX線回折実験を行い,回折強度データを得た.分子置換法により位相を決定し,全体構造を解析したところ,PGESはホモダイマーを形成し,モノマー構造は9本のアルファヘリックスならびに4本のベータストランドより構成されていた.また,GSH結合サイトも保存されていた.部位特異的アミノ酸置換法によりこれらのアミノ酸(Tyr8,Leu14, Trp39, Lys43, Gln50, Met51, Gln63, Ser64)をそれぞれAlaに変異し,活性に与える影響を検討した.その結果,PGES活性の減少が観察されたが,Trp39ならびにGln63をAlaに変換した変異体において顕著な活性減少が見られた.以上の構造解析そして部位特異的アミノ酸置換法の結果より,上記のアミノ酸残基はPGES活性発現に重要であることが示唆された.平成25年度は,PGESと各種プロスタグランジン類縁体の複合体結晶を作製し,グルタチオン結合基質結合部位を立体構造学的に解析する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
同定したカイコPGES活性の発現に関与するアミノ酸残基を部位特異的アミノ酸置換法により同定した.また,グルタチオンとの複合体結晶を構造解析した結果,当該アミノ酸はグルタチオンと相互作用していることが明らかとなった.以上の事由により,おおむね順調に進展しているものと判断する.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策は以下の通りである. (1)基質結合部位を明らかにすることを目的とし,PGESとプロスタグランジン類縁体との複合体結晶を作製し,X線立体構造解析を行う予定である. (2)PGESとグルタチオン類縁体との複合体結晶を作製し,X線立体構造解析をすすめる.複合体結晶は,ソーキング法ならびに共結晶法により作製する. (3)PGESの阻害剤探索(スクリーニング)を計画している.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は,PGESの阻害剤探索を計画している.研究遂行中,消耗品費にて阻害剤を購入する.また,カイコ卵巣中のプロスタグランジン量を質量分析計にて測定する予定である.消耗品費にて必要試薬を購入する. 本研究をすすめるうえで必要な印刷費,複写費そしてサンプル運搬費を計上している.研究成果を発表し,情報を交換するための研究成果発表旅費は不可欠である.また,論別刷りそして論文校閲を計上している.
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