研究課題/領域番号 |
24580080
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
中島 裕美子 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 准教授 (70244340)
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研究分担者 |
間野 修平 統計数理研究所, 数理・推論研究系, 准教授 (20372948)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | クワコ (台湾、韓国) / インドクワコ(インド) / MLE / CIM (Cecropia-ITR-MLE) / レトロトランスポゾンR1Bm, R2Bm |
研究概要 |
DNA型トランスポゾン mariner-like element (MLE)はカイコゲノムでは6タイプ(Bmmar1-Bmmar6)が報告されている。その中のBmmar2に分類されるタイプで、Cecropia 蚕MLEの末端逆位繰り返し配列(Inverted Terminal Repeat)をプライマーとしてピックアップされたMLEであるCIM( Cecropia-Inverted-Mariner) はカイコゲノム中に19コピー存在する。 今回は、MLEに他の転移因子が挿入された6番染色体と、MLEが単独で挿入されている9番と11番染色体に挿入されたCIMとその周辺のホストの配列を用いて、コアレセントモデルに基づくベイズ推定により次のことを明らかにした。 1) 転移因子とホストゲノムの置換速度はほぼ同じで、転移因子をイベントの時刻の推定に使える。2) 3つのCIMはクワコの共通祖先より前に独立に転入した。3) クワコ、カイコの分岐は700万年前(既報に合致)。4) 6番染色体に挿入されたMLEに挿入されたレトロトランスポゾンL1Bmの挿入後、カイコの系統のみで更にレトロトランスポゾンBMC1が挿入された。そして、一部のクワコ集団でのみ、DNA型トランスポゾンBmamaT1が挿入され、またその中で更に一部の集団でBmamaT1が脱落した。5)クワコの多様性は有効集団サイズにして500万-1000万年前に共通祖先で確立された。6)カイコの多様性は有効集団サイズにして15万-30万年前に共通祖先で確立され家畜化されたのはクワコのごく一部だが数匹ではない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
クワコの野生集団の採集とその後の飼育、交配が予測より遅れた。更に、先方共同研究者の死去に伴い、24年度にインドクワコの採集をすることができなかった。 CIMの解析は予め予測ができていたので、ほぼ計画通り進められたがが、RIを用いたR1, R2の実験は、施設のハード面の整備が未だ十分でなく遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
1)実験材料の確保と交配実験を確実に進める。 2)これまで解析してきたCIMの他の座位を用いた解析(各個体を解剖して採った組織からの核酸を用いる)を進める。 3) R1,R2 の隣接する5' 側28rRNA 遺伝子内の領域にRIでラベルしたプライマーと、R2 因子内の3' 側にプライマーをいくつか設計しPCR を行う手法により、non-LTR 型レトロトランスポゾン特徴的な5' 側の欠失を検出し、集団によってどの程度、また、どの領域に欠失が顕著かのプロファイルを見る実験を推進する。。 4)サザン法でrRNA 遺伝子クラスター中の R1,R2 のコピー数を同定する手法を確立する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1)クワコ、インドクワコの採集を九州、台湾、韓国、インドで行う。 2)カイコとクワコの交配実験を計画的に進めるために資材を購入する。 3)CIMとその周辺配列の塩基配列の決定を進めるための消耗品を購入し、また、解析を外注する際の諸経費にあてる。 4)R1, R2のクワコ集団内変異の解析を進めるための実験に必要な消耗品を購入する。
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