研究課題/領域番号 |
24580080
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
中島 裕美子 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 准教授 (70244340)
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研究分担者 |
間野 修平 統計数理研究所, 数理・推論研究系, 准教授 (20372948)
手島 康介 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20447593)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | R1, R2レトロトランスポゾン / Bombyx mori (カイコ) / B. huttoni (クワコ) / B. mandarina (インドクワコ) / non-coding RNA / GC含量 |
研究実績の概要 |
Bombyx mori(カイコ)の11番染色体クラスター以外のゲノム領域におけるrDNA配列の断片の存在を検出するため、ゲノムのコンティグとEST、さらに同族鱗翅類のrDNA配列を、BLAST解析を基に収集し、それらをCAP3 Sequence Assembly Programを用いてアライメントさせ、rDNA遺伝子、R1およびR2の全長の転写単位の配列を決定した。次にゲノム領域オーソログから、B. huttoni(インドクワコ)、B. mandarina(クワコ)、B. mori(カイコ)の低カバレッジゲノム配列からの R1, R2配列を持つcontigまでの配列を抽出し、同時にアッセンブルゲノム内のR1, R2及びrDNA配列全てに応じるnon-coding RNAの再構築を行った。 その結果、カイコではrDNA領域のGC含量は他のゲノム領域よりも高い中、R1,R2因子の部分配列挿入周辺領域は更に高いGC含量値を示し、全長挿入周辺領域配列のGC含量はそれらよりも更に高かった。また、rDNA領域以外に挿入されているR1, R2部分配列が挿入された領域のGC含有はrDNA中に挿入された全長R1, R2挿入領域とほぼ同じく非常に高く、遺伝子に隣接した領域や、遺伝子融合箇所に挿入されていた。従ってこれらの領域が転写に影響を及ぼすクロマチンに局所構造変化をもたらす二次構造の形成に関与している可能性が考えられた。また、rDNAおよびR1, R2の転写産物の長さに応じて複数の領域がnon-coding RNAの結合領域として同定され、また少数が複数の non-coding RNAの特異的な標的となっていたことから、これらの上流または下流の遺伝子制御におけるR1, R2部分配列が機能的な役割を果たしている可能性が考えられた。さらにクワコおよび インドクワコのゲノム上でR1,R2挿入のないゲノム領域はすべて、カイコではnon-coding RNAの標的であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
クワコの野生集団の採集とその後の飼育、交配が予測より遅れた。更に、採集予定時期にインドの天候不良のため渡航できず、インドクワコの採集をすることができなかったため、CIMに関しての研究が遅れた。しかし一方、カイコ、クワコ、インドクワコのESTデータを用いてR1, R2に関してはrDNA遺伝子クラスター上、およびそれ以外のゲノム上に挿入されている部分配列の転写配列の解析を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
1)採集や交配以外の方法も含め、クワコとカイコの次世代、およびインドクワコのDNAの入手を試みる。2)BnMTML以外のCIMとその周辺配列の塩基配列の決定を進める。3)R1, R2のクワコ集団内変異の解析を実験により進める。4) R1, R2のrRNA遺伝子クラスター以外の領域に挿入されたR1, R2部分配列の起源を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
採集予定時期にインドの天候不良のため渡航できず、インドクワコの採集をすることができなかったため、旅費を執行できなかった。またR1, R2に関しては公開データを用いた解析を進めたが、5' 欠失の集団間差異を解析する実験が、施設のハード面の整備不十分のため遅れ、必要な消耗品の購入に充てられなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
1)交配実験を計画的に進めるために資材を購入する。2)クワコ、インドクワコのゲノムDNA入手のための旅費に充てる。3)CIMとその周辺配列の塩基配列の決定を進めるための消耗品を購入し、また、解析を外注する際の諸経費にあてる。4)R1, R2のクワコ集団内変異の解析を進めるための実験に必要な消耗品を購入する。
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