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2013 年度 実施状況報告書

カイコガ性フェロモン不活化過程の分子基盤研究

研究課題

研究課題/領域番号 24580085
研究機関独立行政法人農業生物資源研究所

研究代表者

宮澤 光博  独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫機能研究開発ユニット, ユニット長 (90370684)

研究分担者 山崎 俊正  独立行政法人農業生物資源研究所, 生体分子研究ユニット, ユニット長 (40360458)
石田 裕幸  富山県立大学, その他部局等, 研究員 (90509861)
キーワードカイコ蛾 / フェロモン分解 / タンパク質
研究概要

昆虫の性フェロモン受容システムの感受性は極めて高く、フェロモン分子の受容とそのシグナルのリセットは、触角内リンパ液に存在するタンパク質がその役割を担っている。このうち、フェロモン分子の受容に関する研究は、近年大きな進展が見られる一方、フェロモンシグナルをリセットし、新たなフェロモン分子の受容に備えるプロセスは、あまり知見が得られていない。そこで本研究は、カイコ蛾成虫を用いて、性フェロモン(ボンビコール)を不活化するタンパク質の同定とその機能を解析する研究を行う。これまでカイコ蛾触角を採取し、その抽出液について酵素機能を示すタンパク質の解析を行った。その結果、ボンビコールの水酸基を分解すると考えられるアルコールデハイドロゲナーゼとアルコールオキシダーゼの存在が確認された。これらのタンパク質は、腹部の抽出液からは観察されず、触覚に特異的に存在することが示された。同時に該当のタンパク質は、他の触角由来のタンパク質と比較し、極めて低い濃度であることが示された。そこでさらに多くの触角を採取し、その性状の解析を進めた。液体クロマトグラフィーで分離を行うと、陰イオン交換カラムに吸着されることが示されたが、溶出条件が異なると、該当のタンパク質は変性することが示された。また単量体ではなく、2量体、もしくは4量体で活性を有することが電気泳動やゲル濾過カラム実験から示された。今後はより多くの試料を採取し、該当タンパク質が安定する条件を見出し、遺伝子解析を進める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

フェロモン分解酵素として推定されたタンパク質の性状が明らかになったが、抽出物の中に含まれる他のタンパク質と比較し、極めて濃度が低く、カイコ蛾触角から抽出するタイミングも、抽出効率に大きく影響することが推定された。また陰イオン交換カラムには吸着する一方、溶出条件によってタンパク質の酵素活性が低下し、安定性の低いことが原因となり研究の進展が遅れた。

今後の研究の推進方策

ボンビコールの水酸基を化学変換するアルコールデハイドロゲナーゼ、およびアルコールオキシダーゼの候補遺伝子を、カイコゲノムのデータベースを用いて探索を行っているが、アルコールオキシダーゼに関連する候補遺伝子は見出されていない。一方、アルコールデハイドロゲナーゼは候補遺伝子が見出されるが、アルカリ性で高い触媒活性を示すため、中性付近のpHを示す触角リンパでは効率的に機能する可能性は低いと思われる。これよりアルコールオキシダーゼがボンビコールの不活化に関与していると考えている。このため大量採取を繰り返し行い、性状の解析を進める。

次年度の研究費の使用計画

目的タンパク質の濃度と安定性が極めて低く、液体クロマトグラフィーによる分離・精製実験の過程で追跡が困難になることが多く、試料の回収と濃縮などの作業によって当初計画した実験のステップに移ることが出来なかった。
非常勤職員を雇用し、試料の採取を繰り返し行うと共に、ごく微量でアミノ酸配列の解析が行える委託分析を活用しながら問題の解決にあたる。

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公開日: 2015-05-28  

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