研究課題/領域番号 |
24580087
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研究機関 | 独立行政法人農業生物資源研究所 |
研究代表者 |
小滝 豊美 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫成長制御研究ユニット, 上級研究員 (20391550)
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研究分担者 |
品田 哲郎 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30271513)
志賀 向子 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90254383)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 幼若ホルモン / 頸吻群 / カメムシ目 / 卵巣発育 / アラタ体 |
研究実績の概要 |
セミ類はイネの重要害虫であるウンカ・ヨコバイ類に近縁であり、これらは同じJHを共有している可能性がある。従って、まず体の大きいセミ類においてJHの構造を解明し、ついで、ウンカ・ヨコバイ類のJHとセミ類のそれとの異同を問えば、ウンカ・ヨコバイ類のJHの構造をより容易に決定出来るだろう。このようにしてウンカ・ヨコバイ類のJHを解明しそれに基づく制御剤を開発するため、本研究ではアブラゼミとクマゼミにおけるJHの構造解明を目的とした。 メス成虫を採集して、JHを作る内分泌器官、アラタ体(CA)を摘出し培養した。培地中に放出されたCA生産物を抽出して、LC-MSで分析した。その結果、カメムシ類で見出されたJHSB3だけでなく、異なる複数の物質を生産してことが明らかになった。予備実験から予想される構造の物質を立体特異的に合成し、LC-MS分析してCA生産物と比較したところ、MSは類似しているが、LCの溶出時間が両者間で異なることが示された。このことから、CA生産物は、想定された物質と異なる新規なJHであると考えられた。 次にセミ類におけるJH活性検定法を検討した。先行研究で有効とされた卵巣のろ胞細胞の隙間を観察する方法やビテロジェニン遺伝子の発現を指標に活性を検出する方法を試みたが、安定してJH活性を検出することは難しいと判断した。そこで、メス成虫に対してCA摘出およびJH塗布を同時に行う検定法を検討した。メス成虫からのCA摘出により卵巣発育は、著しく抑制された。一方、JH候補物質を注射すると対照個体よりはやく卵巣発育が進行した。これらから、CA摘出およびJH候補物質の処理を組み合わせることによって、JH活性の検定が可能であると考えられた。 セミ類における想定外の新規JHが存在する可能性が示されたが、構造決定と活性の確認まで至らず、これらは今後の課題である。
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