26年度の研究で得られた、異なる土壌環境で生育する複数の野生植物種と、その生育土壌の解析結果を取りまとめた。各種植物における植被率と土壌の抽出態元素含有率、土壌化学性の間の相関を調べたところ、ススキで特徴的な傾向が見られた。すなわち、ススキでは有害な元素である土壌の交換態アルミニウムやナトリウムが高く、有効態リン酸が低い土壌で植被率が高かった。これは他の調査した植物種とは逆の傾向であった。これらの結果から、可給態リン酸が高くアルミニウムやナトリウムといった有害元素の可給態レベルが低い土壌では他の種が速やかに繁茂し初期成長速度の遅いススキの植被率は大きくならないが、有害元素の可給度上昇とリン酸の可給度低下が進むにしたがって他の種の成育が制限され不良土壌適応性の高いススキの植被率が上昇すると考えられた。これら得られた成果をオランダで開かれたRhizosphere 4 congressで発表した。
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