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2012 年度 実施状況報告書

イネ根におけるアンモニウム態窒素過剰摂取抑制の分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24580090
研究種目

基盤研究(C)

研究機関東北大学

研究代表者

早川 俊彦  東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60261492)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード遺伝子 / シグナル伝達 / 植物 / 生理学 / 発現制御
研究概要

申請者は、アミノ酸等の低分子化合物を結合して酵素活性を制御するACTドメインを有するセリン(Ser)/スレオニン(Thr)/チロシン(Tyr)タンパク質キナーゼ様タンパク質1 (OsACTPK1)が、充分な外来アンモニウムイオン供給下のイネ幼植物根のアンモニウムイオン吸収の負の制御に関わる結果を得た。本研究では、OsACTPK1に着目して、イネ根のアンモニウムイオン過剰摂取抑制の分子機構を解明することを目的とする。
(1) OsACTPK1のタンパク質リン酸化機能解析と機能制御エフェクター分子の探索
ACTドメイン欠失(DeltaACT-)組換え(r)OsACTPK1の大腸菌内大量発現系と高度精製系を構築した。Phos-tagアクリルアミドゲル電気泳動法により、rOsACTPK1とDeltaACT-rOsACTPK1の各精製標品の人工被リン酸化タンパク質基質(ミエリン塩基性タンパク質MBP)に対するリン酸化活性を確認した。現在、両組換えタンパク質精製標品のin vitroでの自己及びMBPに対するリン酸化活性を反応速度論的に解析中である。また、各リン酸化活性に及ぼす添加アミノ酸等の影響を解析中である。
(2) OsACTPKパラログの機能解析
OsACTPK4の解析を進めた。OsACTPK4 mRNA蓄積量は、アンモニウムイオン供与後のイネ幼植物の根で、極短時間で誘導的に最大となった。また、OsACTPK4-sGFPのイネ根細胞での一過的発現解析から、OsACTPK4のサイトゾルと核への両局在が示唆された。さらに、抗リン酸化Tyr抗体を用いたイムノブロット解析から、大腸菌内発現rOsACTPK4精製標品の自己Tyr残基リン酸化活性に対するエフェクター効果を有すアミノ酸分子種は、rOsACTPK1とは異なることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

OsACTPK1のタンパク質リン酸化機能をin vitroで詳細に解析するのに必要なrOsACTPK1とdeltaACT-rOsACTPK1の可溶性タンパク質を、大腸菌内で大量発現させ、高度に精製する実験系の構築が、発現タンパク質の不溶化や凝集等により困難を極めた。しかし、時間は要したが、タンパク質リン酸化活性を有する可溶性の上記組換えタンパク質の調製に成功し、現在比較解析を進めている。本年度の研究計画のOsACTPK1とイネアンモニウム輸送担体(OsAMT)群との機能的関連性の解析、OsACTPK1がmRNA発現レベルで制御しえるアンモニウム輸送因子候補の探索及びOsACTPK1の標的リン酸化タンパク質候補の単離に関しては、遂行できなかった。

今後の研究の推進方策

組換えOsACTPK1群の大腸菌内大量発現・高度精製系及びこれらの標品を用いたin vitroでのタンパク質リン酸化活性測定系は構築したので、OsACTPK1のタンパク質リン酸化活性制御機構を詳細かつ効率的に解析可能と考えられる。平成25年度には、平成24年度に遂行できなかったOsACTPK1とイネOsAMT群との機能的関連性の解析、OsACTPK1がmRNA発現レベルで制御しえるアンモニウム輸送因子候補の探索及びOsACTPK1の標的リン酸化タンパク質候補の単離に関する研究計画を、平成25年度研究計画とともに遂行する。平成25年度の研究計画であるOsACTPK1のイネ根組織分布解析とTos17挿入OsACTPK1遺伝子破壊(-KO)イネの機能相補試験に関しては、OsACTPK1遺伝子の自己プロモーター-cDNA-レポーター遺伝子(sGFP, GUS)のコンストラクトを、日本晴とOsACTPK1遺伝子-KOイネに導入し、既に形質転換体を作成中である。よって、平成24年度の継続研究計画と、平成25年度研究計画の同時期遂行に問題は無いと考えられる。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度からの継続研究計画である、rOsACTPK1群精製標品を用いたin vitroでのタンパク質リン酸化活性制御機構解析、OsACTPK1と OsAMT群との機能的関連性の解析、OsACTPK1がmRNA発現レベルで制御しえるアンモニウム輸送因子候補の探索及びOsACTPK1の標的リン酸化タンパク質候補の単離に関しての研究費は、平成24年度から平成25年度に持ち越した。また、平成25年度の研究計画遂行にかかる研究費は申請額と同額である。従って、研究遂行に問題は無いと考える。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Cytosolic glutamine synthetase1;2 is responsible for the primary assimilation of ammonium in rice roots2013

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiro Funayama, Soichi Kojima, Mayumi Tabuchi-Kobayashi, Yuki Sawa, Yosuke Nakayama, Toshihiko Hayakawa, Tomoyuki Yamaya
    • 雑誌名

      Plant and Cell Physiology

      巻: 54 ページ: 934-943

    • DOI

      10.1093/pcp/pct046

    • 査読あり
  • [学会発表] シロイヌナズナNADH-グルタミン酸合成酵素の根におけるアンモニウム同化の重要性

    • 著者名/発表者名
      小西範幸
    • 学会等名
      第54回日本植物生理学会年会
    • 発表場所
      岡山大学
  • [学会発表] シロイヌナズナ環境型におけるアンモニウム栄養利用の遺伝的な差異

    • 著者名/発表者名
      松岡香矢
    • 学会等名
      第54回日本植物生理学会年会
    • 発表場所
      岡山大学
  • [学会発表] シロイヌナズナサイトゾル型グルタミン合成酵素1;2は根でアンモニウムによって誘導されアンモニウムを同化する

    • 著者名/発表者名
      小西範幸
    • 学会等名
      日本農芸化学会2013年度大会
    • 発表場所
      東北大学
  • [備考] 東北大学大学院農学研究科応用生命科学専攻植物機能科学講座植物細胞生化学分野ホームページ

    • URL

      http://www.agri.tohoku.ac.jp/cellbio/index-j.htm

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公開日: 2014-07-24  

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