研究課題
今年度はリポソーム添加型無細胞合成系を利用したプロテオリポソーム再構成系によるトランスポーターの機能解析系の改良を行なった。主に合成方法に焦点を絞りタンパク質の合成効率を上昇させることに成功した。その結果、コムギ胚芽由来のタンパク質に対する合成タンパク質の割合が高まり、簡易精製後のトランスポータータンパク質の輸送活性測定においてS/N比の高い機能解析系を構築することに成功した。この方法を用いて、植物の複数のオルガネラに局在するトランスポーターの機能解析を行なった。3'-ホスホアデノシン-5'-ホスホ硫酸(PAPS)は様々な含硫化合物の生合成経路において、硫酸基供与体として利用される。植物細胞内でPAPSの合成経路は細胞質と色素体に存在するが、細胞質経路を欠損させた変異体においても野生型と同等のグルコシノレートが合成されることから、グルコシノレート生合成は細胞質でも行われるものの、その生合成には主に色素体経路で合成されるPAPSが利用されると考えられている。この研究結果より、PAPSを色素体内から細胞質へ輸送する輸送体が存在すると推定されてきた。最近、シロイヌナズナのAt5g01500がコードする蛋白質が色素体膜上のPAPS輸送体であることが報告されPAPST1と命名された。我々は、PAPST1と高いアミノ酸配列相同性を有し、色素体局在が予測される蛋白質について、我々が構築したプロテオリポソーム再構成系を用いて輸送基質について解析を進めた。その結果、この蛋白質がPAPST1と同様にPAPS、PAP、ATPに対して高い輸送活性を持つことを確認した。
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