研究実績の概要 |
1)ダイズ根粒菌Bradyrhizobium japonicumゲノム領域(BjG30)の12遺伝子で、ゲニステイン特異的な発現が確認された(最大214倍)。これらの誘導発現は、ゲニステイン代謝関連物質5-ヒドロキシフラボノイド(ケルセチン等)で顕著だったが、ダイゼイン代謝関連物質5-デオキシフラボノイドでは有意に低かった。発現は誘導後5分で始まり、15分で最大に達すること、及び発現量は濃度に依存し、共生関連遺伝子群(nodW,nodD1)の発現プロファイルとは全く異なることが示された(平成24年度)。 2)BjG30のRND型薬剤排出ポンプ破壊株(ΔRND)、ポリヒドロキシ酪酸代謝破壊株(ΔPHB)、及びTetR転写調節因子破壊株(ΔTetR7023, ΔTetR7024)を遺伝子欠失/Ω挿入により構築した。ΔRND株の根粒数は親株よりも増加したが、根粒重量と窒素固定能は有意に低下した。一方、ΔTetR7023株の根粒数は親株より減少し、根粒重量と窒素固定能は増加したが、植物体あたりの重量は減少した。BjG30(RNDとTetR7023)は機能的な共生関係の構築に重要であることが示された(平成25年度)。 3)マクロアレイを用いて、ΔRND株、及びΔTetR7023株のゲニステイン処理後12時間における共生関連遺伝子群の発現量を親株と比較した結果、nodYABCが含まれるクローン(brb16006:2183559~2186529bp)の発現量は、親株(43.6倍)に対し、ΔRND株(19.5倍)、ΔTetR7023(36.6倍)となり、RND型薬剤排出ポンプの破壊によりnodYABCの発現が有意に抑制された。RND型薬剤排出ポンプによるゲニステイン排出系は、ゲニステインによる共生関連遺伝子群の誘導発現系と密接に関わっていることが示された(平成26年度)。
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