研究課題/領域番号 |
24580105
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
池田 正人 信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (00377649)
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研究分担者 |
竹野 誠記 信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (30422702)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | コリネバクテリウム・グルタミクム / 還元力 / NADPH / GapN |
研究実績の概要 |
我々は、ミュータンス菌のNADP完全依存型GapN酵素を用いてコリネ菌の解糖系を再構築し、NADPHの産生を、脱炭酸を伴うペントースリン酸経路でなく解糖系で行うことができる還元力高産生宿主の開発を試みてきた。そのような宿主として造成したRE2Aiol株は、ゲノム上に、GapN遺伝子に加え、イノシトール誘導型GapA遺伝子を有するGapAとGapNの両用型宿主である。本宿主の性能を、リジン発酵を例に検証した。
まず、対照株である2株、すなわちGapA株(GapAのみ保有)とRE2株(GapNのみ保有)のリジン発酵特性を把握するための検討を行った。リジン生産評価(シード:グルコース2%、本培養:グルコース5%)は、各々の宿主にリジン生産用プラスミドを導入して、そのリジン力価と発酵時間を菌株間で比較することにより行った。その結果、GapA株は、24時間以内に発酵を終了できリジンを10%程度の対糖収率で生産できること、一方、RE2株はその2倍強の収率でリジンを生産できる実力を有するも発酵が10時間以上遅延し、この欠点は培養条件では解決できないことを確認した。次いで、 GapAとGapNの両用型宿主RE2Aiol株のリジン発酵特性を解析した。先に検討した至適条件、すなわち、シード培養に少量のイノシトールを添加するだけで、本培養ではRE2株並みの高いリジン収率を維持したまま、発酵時間をGapA株並に大幅に短縮できることがわかった。
GapA株、RE2株、およびRE2Aiol株の各々から、ペントース-リン酸経路の初段反応を担うzwf 遺伝子の破壊株を造成した。それらのリジン生産試験を行った結果、GapAΔzwf株のリジン収率が親株(GapA株)の半分以下に低下したのに対し、RE2Δzwf株とRE2AiolΔzwf株のリジン収率は高いまま維持されていた。すなわち、本研究で育種した菌株の高いリジン生産能にペントースリン酸経路の代謝は不要であることが確かめられた。ペントース-リン酸経路に依存しないリジン発酵はこれが初めてである。
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備考 |
http://soar-rd.shinshu-u.ac.jp/profile/ja.uhLNPUkh.html?lng=ja&id=uhLNPUkh
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