ミュータンス菌(う蝕菌)は、ペントースリン酸経路でNADPHを生成できない代わりに、解糖系でそれを産生することができる。この特異なレドックス代謝系をコリネ菌内で再構築した。これを宿主としてリジン生産を行うと、元株の倍以上の高いリジン生産能が得られた。さらに、元株のリジン生産能がペントースリン酸経路の遮断によって半減したのに対し、育種株では同経路を遮断しても高いリジン生産能が維持されていた。すなわち、本菌のリジン生産は、狙い通り、還元力をペントースリン酸経路に依存しない代謝系になっていることが確かめられた。ペントースリン酸経路に依存しないリジン発酵はこれが初めてである。
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