研究課題
Rhodococcus erythropolis N9T-4株の細胞内に形成する新規オルガネラ「オリゴボディー」について,平成24年度は培養条件(炭素源・窒素源)によるオリゴボディーの形態観察,および電子顕微鏡以外でのオリゴボディーの可視化,平成25年度はオリゴボディーの構成成分について検討し,ポリリン酸を主成分とすることを明らかにした.平成26年度は主成分がポリリン酸であることに着目し,ポリリン酸代謝に関与する遺伝子解析とオリゴボディーとの関連性について検討した.まず,N9T-4株ゲノム情報からポリリン酸の合成・分解に関与する遺伝子を検索したところ,ポリリン酸キナーゼをコードする2つの遺伝子(ppk1およびppk2)を同定することができた.これまでのppkに関する報告と遺伝子構造から,ppk1はATP依存的なポリリン酸の合成に,ppk2はポリリン酸の分解すなわちATPの合成にその反応が進むことが予想できた.そこで,これらの遺伝子破壊を試み,破壊株の生育,オリゴボディーの観察などを行なうことにした.ppk1およびppk2の破壊は,カナマイシン耐性遺伝子を用いた相同組換えにより行い,さらにsacB遺伝子を用いてマーカーをとり除き完全にそれぞれの遺伝子座を欠損させた株,delta-ppk1株およびdelta-ppk2株を作製した.これらの欠損株のオリゴボディーを顕微鏡によって観察したところ,delta-ppk2株は親株とほとんど変わらなかったが,delta-ppk1株においては,オリゴボディーがほとんど観察できなかった.また,それぞれの欠損株の低栄養培地(BM培地)での生育は親株とほとんど変わらず,ポリリン酸,オリゴボディーは本菌の低栄養生育には必須でないことが明らかとなった.ppk1,ppk2二重欠損株の作製も試みたが,本研究期間中には取得することができなかった.これは今後の課題でもあるが,二重欠損株は低栄養生育できない可能性もある.
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Applied Microbiology and Biotechnology
巻: Epub ahead of print ページ: 1-11
DOI 10.1007/s00253-015-6500-x