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2012 年度 実施状況報告書

イネの形質転換に適した特質を持つアグロバクテリア菌株の解析

研究課題

研究課題/領域番号 24580115
研究種目

基盤研究(C)

研究機関広島大学

研究代表者

鈴木 克周  広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50221320)

研究分担者 山本 真司  広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任助教 (50607348)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード病原性細菌 / 遺伝子発現 / 遺伝子発現誘導物質 / 化学発光レポーター / 遺伝子水平伝達
研究概要

vir遺伝子発現の基本特性: 特異なvir遺伝子発現特性をもつP-Ag-5株の基本的性質を把握するために、発現誘導物質として既に知られているASを用いた場合のvir遺伝子誘導に及ぼす環境条件の影響を調べた。同株は他のアグロバクテリア菌株と同様に、高温条件では発現が抑制されること、培地は複合培地よりも合成培地の方が発現誘導に適していることがわかった。イネと共存させた時に他の菌株ではvir遺伝子発現しないのにP-Ag-5では発現するという特性を説明する作業仮説として、virAに相当するが特異性が異なるリセプター遺伝子をP-Ag-5がゲノム上にも具備している可能性を想定して検証するために,リセプターvirA遺伝子欠失変異体を作成して誘導実験を行ったところ、変異体はvir遺伝子を発現しなかった。従って、リセプタータンパク質自身の特性が異なっているという考えは否定された。
イネのもつ発現誘導物質の解析: イネ懸濁培養の遠心上清液を酢酸エチルで抽出したところ、誘導活性は酢酸エチル相に検出された。酢酸エチル抽出物の活性は逆相カラムに吸着されて、メタノールで溶出回収できた。従って、活性物質を純化するめどがついた。
vir遺伝子発現検出解析用プラスミドの作成: P-Ag-5株の特異なvir遺伝子発現特性を決定する遺伝子を探索するために、変異体スクリーニングを計画している。スクリーニングには、数千個の独立したコロニーの遺伝子発現を測定しなければならない。そこで、コロニーのままリアルタイムに遺伝子発現をモニターできるように発光遺伝子luxABをvir遺伝子プロモーター支配下に配置したレポーター遺伝子を作成した。この遺伝子を搭載したプラスミドを持たせた菌株はAS添加あるいはイネ培養細胞と共存させると明瞭な発光を示したので、強力なレポーターとして利用できることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

vir遺伝子発現の基本特性:  P-Ag-5菌株のvir遺伝子発現について、培養温度ならびに培養液組成による影響の受け易さは既知菌株の性質とほぼ同じと把握した。また、レセプターvirAはTiプラスミド上のものだけであり第2のリセプターがあるという作業仮説は否定された。予定通りに基本特性を把握できた。
イネのもつ発現誘導物質の解析: イネ懸濁培養の上清液を酢酸エチル抽出した画分から活性が検出され、活性物質を逆相シリカゲルカラムに吸着させて溶出ができたので、カラムクロマトグラフィーで精製できる見通しがついた。次年度に活性物質を精製し構造解明に向けて予定通りに進行した。
vir遺伝子検出用プラスミドの作成:  数個のvirプロモーターならびにレポーター遺伝子としてluxABCD、luxAB、GFP、GUSを組み合わせた発現検出系を作成した中で、luxABを用いて作成した検出系が高感度かつ検出が容易で細胞を殺さずにリアルタイムモニターできた。次年度に変異体をスクリーニングするための準備が整った。

今後の研究の推進方策

イネのもつ発現誘導物質の解析: イネ懸濁培養が上清液に分泌するvir遺伝子誘導物質を精製純化して構造決定に挑む。培養スケールを大幅に拡大して上清液を大量に用意して酢酸エチル抽出する。培養スケールを拡大しても活性物質の濃度は低下していないか確認する必要がある。抽出物から活性物質を数種のカラムクロマトグラフィーで精製した上で、機器分析して構造解明する。
特異なvir遺伝子発現様式を制御決定する遺伝子の探索: 今回作成したvirプロモーター付のluxABレポーター遺伝子を保持するP-Ag-5菌株を出発材料として、トランスポゾン変異体ライブラリーを用意する。このレポーター系でリアルタイムモニターできる利点を生かして、発現様式が変化した変異体を求めてスクリーニングを行う。

次年度の研究費の使用計画

イネのもつ発現誘導物質の解析: vir遺伝子誘導物質を精製純化して構造決定するには,イネ細胞を多量に培養する事、カラムクロマトグラフィーならびにその多数の分画の活性検定のために消耗品費を支出する。 純化できれば、大学内の機器センターへ依頼分析するので委託費を支出する。
特異なvir遺伝子発現様式を制御決定する遺伝子の探索: 今年度に既にモノクロ高感度CCDカメラを購入してあり、今年度に作成したLux発光による遺伝子発現検出系を活用すれば検出に費用は僅かしか要しない。しかし、数千個という多数の変異体からなるライブラリーを用意して個別に発現をモニターするのに消耗品費を支出する。
また、学会発表と論文出版のために出張旅費、英語原稿添削と出版のためにその他の費目支出をする。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Development of a reinforced Ti-eviction plasmid useful for construction of Ti plasmid-free Agrobacterium strains2012

    • 著者名/発表者名
      S. Yamamoto, K. Suzuki
    • 雑誌名

      J. Microbiol. Meth.

      巻: 89 ページ: 53-56

    • DOI

      doi: 10.1016/j.mimet.2012.01.019.

    • 査読あり
  • [学会発表] イネに含まれるアグロバクテリアvir遺伝子誘導物質の解析

    • 著者名/発表者名
      清川一矢、田中克幸、平賀良知、山本真司、守口和基、鈴木克周
    • 学会等名
      中国四国植物学会
    • 発表場所
      島根大学
  • [学会発表] より多くの生物に遺伝子を注入するアグロバクテリア株の探索

    • 著者名/発表者名
      鈴木克周、清川一矢、田中克幸、山本真司
    • 学会等名
      日本分子生物学会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 招待講演

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公開日: 2014-07-24  

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