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2013 年度 実施状況報告書

イネの形質転換に適した特質を持つアグロバクテリア菌株の解析

研究課題

研究課題/領域番号 24580115
研究機関広島大学

研究代表者

鈴木 克周  広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50221320)

研究分担者 山本 真司  広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任助教 (50607348)
キーワード病原細菌 / 遺伝子発現 / 遺伝子発現誘導物質 / 化学発光レポーター / 遺伝子水平伝達
研究概要

P-Ag-5菌株のvir遺伝子発現の解析: イネによってvir遺伝子発現が促される新奇な性質をもつ菌株の誘導機構を探索するために、vir遺伝子発現がイネによって促されないが既存の誘導物質アセトシリンゴンで誘導される変異体をスクリーニングすることにした。先ず、vir遺伝子発現を容易に検出するために前年度に作成したluxレポーター保持株にトランスポゾン挿入して変異体を用意した。変異体をイネ培養細胞Ocと固体倍地上で共存培養してからvir遺伝子発現を化学発光で検出して発光しない株を選抜した。イネ培養細胞Ocとの共存培養で発光しない変異体の中でアセトシリンゴンで誘導されるものを選び出すことができた。この変異体はイネが分泌する物質を効率的に感知する遺伝子に変異があると期待している。
イネの分泌するvir遺伝子発現誘導物質の精製と構造決定: イネ懸濁培養上清液にある誘導物質の精製を試みた。上清液の酢酸エチル抽出物を逆相カラムクロマトにかけてメタノール勾配で溶出したところ、誘導活性を示す画分があった。この画分を更に順層のカラムクロマトで精製純化した。この物質を質量分析およびNMR分析したところ、p-coumarylalcohol(PCA)であることがわかった。PCAはリグニン合成の中間体としてどの植物でも合成していると考えられるが、これまでにvir遺伝子発現誘導活性があることは報告されていない。PCAが誘導活性を持つとすれば、多くの下等な植物でもアグロバクテリアはvir遺伝子発現誘導をうけうる事になるという興味深い知見となる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

イネ懸濁培養上清液にあるvir遺伝子発現誘導物質を精製純化することに成功した。
この物質はp-coumarylalcohol(PCA)であることがわかった。
PCAはリグニン合成の中間体としてどの植物でも合成していると考えられるが、これまでにvir遺伝子発現誘導活性があることは報告されていない。PCAが誘導活性を持つとすれば、多くの下等な植物でもアグロバクテリアはvir遺伝子発現誘導をうけうる事になるという興味深い知見となる。

今後の研究の推進方策

イネ懸濁培養上清液にvir遺伝子発現誘導物質の精製精製純化して構造がp-coumarylalcohol(PCA)であると結論するに至ったので、今後はPCAが真にvir遺伝子発現誘導能力をもつか検証するために、PCAを化学合成して活性を確認する。
P-Ag-5菌株から得られたvir遺伝子発現誘導に関する変異体を用いて、関与する遺伝子を分析する。

次年度の研究費の使用計画

最終年度は予算額が少なくなるが、P-Ag-5菌株の変異体の解析でvir遺伝子誘導に関わる遺伝子の解析を行うのに、塩基配列を決定する費用が掛かるので、今年度予算の一部を繰り越すこととした。
P-Ag-5菌株のvir遺伝子誘導に関わる遺伝子の塩基配列決定費用の一部として使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] イネ懸濁培養細胞が分泌する vir 遺伝子発現誘導活性物質の単離

    • 著者名/発表者名
      清川一矢,松井拓也,高木隆吉,山本真司,鈴木克周,安倍学, 平賀良知
    • 学会等名
      中国四国植物学会
    • 発表場所
      徳島大学工学部
  • [学会発表] アグロバクテリウムのT-DNA輸送による酵母形質転換に重要な酵母遺伝子の探索と解析

    • 著者名/発表者名
      大嶺 悠太, 佐藤 由香里 清川 一矢, 山本 真司, 守口 和基, 鈴木 克周
    • 学会等名
      日本分子生物学会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
  • [学会発表] アグロバクテリアを用いる菌類の形質転換

    • 著者名/発表者名
      鈴木克周・清川一矢・大嶺悠太
    • 学会等名
      日本遺伝学会
    • 発表場所
      慶應義塾大学 日吉キャンパス
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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