白麹菌によるクエン酸の高生産機構の解明を目指した。まず、白麹菌の高効率相同組換え株を開発した。白麹菌のクエン酸生産誘導条件下(低温培養移行)において発現量が変動したおよそ1,100の遺伝子を同定した。GO解析の結果から、糖化酵素の高分泌生産のための高温培養は白麹菌にとってストレスであり、細胞を熱ダメージから保護するため、熱ストレスへ対応していることがわかった。低温培養への移行により、グリセロールやトレハロースの合成系、ペントース経路の抑制に伴う代謝系の変換がクエン酸の高生産に関係しているものと推察された。また、クエン酸の高生産に重要と推定される遺伝子を選抜して、遺伝子破壊株を構築した。
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