清酒醸造時にアルコール濃度は18-20%に達する。瓶詰時には15-16%になるものの醸造酒としては世界で最もアルコール濃度が高い。従って清酒を健康な酒にするためには低アルコール濃度で高品質の酒を造るための技術が必要である。しかし低アルコール濃度で清酒を造るとジアセチルなどの好まれない香りが発生する。そこで本研究ではジアセチルの前駆体であるピルビン酸生成が少ない清酒酵母を育種し、その原因がミトコンドリアの活性化であることを明らかにした。育種した酵母は日本醸造協会を通じてスパークリング清酒の製造などに広く活用されている。ミトコンドリアに着目することは醸造酵母育種の新たなスキームとなると考えられる。
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