研究課題/領域番号 |
24580120
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研究機関 | 石川県立大学 |
研究代表者 |
熊谷 英彦 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (70027192)
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研究分担者 |
山本 憲二 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (70109049)
片山 高嶺 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (70346104)
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キーワード | 未利用資源 / セルロース / 耐熱性 / b-グルコシダーゼ |
研究概要 |
セルロースは、地球上に最も多く存在するリニューワブルな資源である。しかしながら人類はまだこの資源を石油に代わるエネルギー源あるいは化学合成原料として有効に利用できるシステムを手に入れていない。本研究では、セルロースを原料とし、経済性のある資源循環型システム(バイオリファイナリーシステム)を実現するための基盤研究として、耐熱性セルラーゼに着目し、その高活性化、高安定化およびその大量生産システムの構築を目的とする。 平成24年度において、真菌由来のb-グルコシダーゼにランダム変異を導入することで耐熱性の上昇した変異体を取得することに成功した。そこで25年度においては、それらのアミノ酸置換を最適化および蓄積することで更なる耐熱性の向上を試みた。その結果、Tmが70度(野生型酵素よりも約10度上昇)にまで上昇した変異型b-グルコシダーゼを取得することに成功した。また、得られた変異体は野生型と同等の比活性を有していた。現在、野生型酵素と変異型酵素のX線結晶構造解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
酵素によるセルロースの分解を目指す上で、耐熱性は最も重要な因子の一つである。本課題では、カビ由来のb-グルコシダーゼに様々なアミノ酸置換を蓄積することで、野生型酵素よりも10度以上も高い耐熱性を有する変異型酵素を創出することに成功した。そのTmは70度以上であり、また基質に対する速度論的パラメーターも野生型と全く変わらないものであった(通常、耐熱性が上昇すると比活性が低下する場合が多い)。申請者の知る限り、本変異型酵素はその耐熱性と比活性において、これまで知られてるb-グルコシダーゼの中で最も優れていると言え、本研究分野において大きなブレークスルーとなると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
野生型酵素と変異型酵素のX線結晶構造解析を行う。また、現在は大腸菌で発現させた酵素を使用して機能解析を行っているが、元々はカビ由来の分泌型酵素であるため、酵母等を用いた分泌発現システムの開発を行う。糖鎖の付加により、耐熱性の更なる上昇が期待できる。 なお、特許性が認められるため、当面の間、学会発表や論文発表は行わないこととする。
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