深海の好圧性細菌は高水圧への適応を果たしている。細胞膜は物質透過とエネルギー生産に重要だが、一般に高圧や低温によって機能阻害される。本研究では細胞膜の物性の観点から、好圧性細菌における高圧適応機構を解析した。様々な深度から単離されたShewanella属、Moritella属およびPhotobacterim属の細菌を培養後、蛍光偏光試薬TMA-DPHを用いた時間分解蛍光偏光解消法を行って、膜の秩序因子とアシル鎖の回転拡散係数Dを測定した。その結果、より高い圧力に適応した種ほど膜が剛直であることがわかった。このことは、好圧性細菌の細胞膜は柔軟であるという従来のイメージとは大きく異なるものである。
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