研究課題/領域番号 |
24580123
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
小倉 光雄 東海大学, 海洋研究所, 教授 (80204163)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | DegS-DegU |
研究概要 |
Spx によるdegSの活性化がlacZ fusionの解析から予想されていたので、in vitroでこの観察を確認する事を目指した。SpxとRNAPを大腸菌で生産させ、精製したSpxとRNAPを用いて、degSのin vitro転写実験をrun-offシステムで実行し、このプロモーターがin vitroで転写活性を持つ事をまず確認した。予想と反して、in vitroではSpxの添加に対してdegSは活性化されなかった。おそらく、未知のdegS転写に関わる因子が、SpxのdegS活性化に必要であると考えられる。 予備実験で、clpP変異の作用点は、degSの転写開始点から-98から+5塩基の領域にある事が判明している。clpP作用点をさらに詳しく知るために、5’側からの欠失を持つfusionをいくつか作製し、clpP変異に対する反応性を調べた.その結果、-41まで削ってもclpP変異に反応した。従って、clpP変異の作用点、言い換えればSpxの作用点はコアプロモーターであることがわかった。P. Zuberらの研究では、SpxのDNA上での作用点はRNAPのαサブユニットとの接触を可能にする-35の直近上流のAGCA配列であるとされているが、そのような配列はなく、さらにdegS上の類似した配列に変異を入れても効果がなく、典型的な例とは作用が異なっている事が予想された。 degSがグルコースによる発現誘導を受けている現象の解析過程で、degUも同じくグルコースによる発現誘導を受けている現象を見いだし解析した。その結果、カタボライト制御のmaster regulatorであるCcpAが直接degUに結合して、degUを活性化している事、及びDegU-Pを分解するClpCPがCcpA依存的にグルコースによる負の制御を受けており、このこともdegU活性化に寄与している事を明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
成果概要に記述したように、SpxによるdegS誘導の分子機構は、当初予想したよりも複雑で、未知の転写因子を要求する事が判明した。またグルコース誘導とSpxに関わりもまだ依然として、未解明である。すなわち、問題は未解決だが、解決するべき課題が明確になった。また、グルコースのdegU誘導機構がCcpA依存である事を明らかにし、論文発表にたどり着いた事は予想外の成果であった。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の課題は、SpxによるdegS誘導の分子機構に関わる未知の転写因子を同定する事である。この点に迫る端緒として、グルコースによるdegSの転写誘導に関わる転写因子の同定が第一に追求されるべき目標であると考えている。そのため、グルコースによるdegS誘導に最低必要な領域を確定する事に集中する。もし、Spxとグルコース効果がdegSプロモーター上での同様な領域に依存しているなら、Spxの作用に必要な未知の転写因子とは、グルコースによるdegS誘導に必要な転写因子と同一である可能性が高いからである。そして、現在までに知られているグルコース誘導に関わる転写因子の破壊株において、degSのグルコース誘導がどうなるかを調べる予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
消耗品(ディスポ プラスチック製品、オリゴDNA合成、分子生物学・微生物学用試薬)1000000円 国内旅費 100000円 論文校正・投稿料 100000円
|