研究課題/領域番号 |
24580124
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
川崎 寿 東京電機大学, 工学部, 教授 (90349788)
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キーワード | 応用微生物 / 発酵 / 電気生理 / 排出 / チャネル |
研究概要 |
独自に開発した微生物パッチクランプシステムを活用したCorynebacterium glutamicumのNCgl1221チャネルの解析並びに、NCgl1221チャネルの発酵法による物質生産への活用についての研究を実施した。 微生物パッチクランプシステムによる解析は、NCgl1221チャネル遺伝子をBacillus subtilisで発現させ、得られた株より調製した巨大液胞様構造体を用いて行った。その結果、当該チャネルは既に報告したグルタミン酸やアスパラギン酸に加え、リジンとフェニルアラニンのアナログも当該物質濃度勾配以外のエネルギーを必要とせずに輸送することを明らかにした。従って、昨年度報告した変異型NCgl1221遺伝子のE. coliフェニルアラニン生産菌への導入によるフェニルアラニン生産量の顕著な向上は、フェニルアラニンがNCgl1221チャネルを通じて排出されることによるものと考えられた。 上記基質のNCgl1221チャネルによる輸送活性に差異がないか確認する目的で、上記の解析を単一の液胞様構造体を用いて連続的に実施したところ、NCgl1221チャネルは輸送基質としてGluやAspよりphenyl propionic acidやLysを好むと考えられる結果を得た。この点について今後更に検討を重ねる予定である。 NCgl1221チャネルの物質生産への活用についての研究は、特許出願の関係でここでは開示しないが、上記解析結果を基にNCgl1221チャネルの有用性を示す結果を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
独自に開発した微生物パッチクランプシステムを活用して微生物のイオン排出系を解析し、その結果を基に応用展開を行うことを研究の第一の目的としているが、Corynebacterium glutamicumのNCgl1221チャネルを解析しその特性を明らかにすると共に、当該チャネルの発酵法による物質生産における有用性を示す結果を得ているため。
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今後の研究の推進方策 |
上記のように、現在までのところほぼ順調に進展していることから、今後もこれまでの研究計画に沿って研究を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
生じた額は3,235円と少額であり、ほとんど予定通りの進捗と捉えている。若干ではあるが発生した理由は、0以下とすることよりも繰り越して次年度に有効に活用することを優先したためである。 ほぼ予定通りの進捗であり、使用計画の特段の変更は考えていない。 予定通り必要な試薬類を計画的かつ効率的に購入し、研究を推進する。
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