研究課題/領域番号 |
24580133
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
古園 さおり 東京大学, 生物生産工学研究センター, 特任准教授 (90321760)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | リジンアセチル化 / 翻訳後修飾 / バクテリア / スクシニル化 / 翻訳伸長因子 |
研究概要 |
リジンアセチル化は、バクテリアからヒトまで進化的に保存された翻訳後修飾として近年注目されている。バクテリアにおけるリジンアセチル化の役割として、代謝酵素の活性調節、走化性、ストレス応答との関連が知られているが、翻訳制御との関連は知られていない。本研究では、翻訳伸長因子EF-Tuを中心に翻訳制御におけるリジンアセチルの意義を明らかにすることを目指す。 最近、スクシニル化を初めとする短鎖アシル化修飾の存在が見いだされている。クエン酸回路から生じるスクシニルCoAを基質とするスクシニル化は、アセチル化と並んで栄養や代謝に応答したタンパク質の機能調節に重要な関わりを持つ可能性が考えられる。そこで、スクシニルリジン抗体の作成に着手した。スクシニル化したBSAを抗原としてウサギに免疫し得られた抗体は、未処理のBSAには反応せず、スクシニルBSA特異的に反応することを確認した。これを用いて様々な培地条件によるEF-Tuのスクシニル化の検出を試みた。これまでに、EF-TuはLやMMグルコース培養の対数期で強くアセチル化されるが、MMコハク酸やMMクエン酸培地ではアセチル化が起こらないことを見いだしている。後者の培地条件では、アセチル化の代わりにスクシニル化が起こっていることがウェスタン解析結果から示唆された。また、培養フェーズにおけるアシル化修飾の変化についても検討した。上述のとおり、L培養の対数期ではEF-Tuのアセチル化が強く起こるが、定常期に入るとすみやかに脱アセチル化される。その後、スクシニル化が誘導されることがウェスタン解析から示唆された。以上のことから、EF-Tuの翻訳後修飾は、培地条件や培養フェーズによって複数のアシル化修飾が入れ替わることが示唆された。現在、スクシニル化部位の同定を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
24年度計画では、EF-Tuアセチル化部位の変異体作成と表現型解析を予定していた。これまでに同定しているアセチル化部位について複数の変異体を作成し、ウェスタン解析でアセチル化レベルを評価したが、主要なアセチル化部位を同定できておらず、表現型解析まで達成できていない。EF-Tuに付加したアフィニティータグの影響も考えられ、タグの変更を含めて再検討する。一方、EF-Tuにスクシニル化修飾が起こっているという新たな知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
スクシニル化修飾の部位の同定を含め、EF-Tuの変異解析を早急に進める。EF-Tuのアシル化制御を解明するために、アセチル化/スクシニル化酵素の同定を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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