研究課題
栄養繁殖は、交配を必要とせず栄養器官の一部が個体として発生する無性生殖の一様式であり、多くの植物種で形態学的、組織学的に記述はなされているものの、その分子メカニズムはほとんど解析されていない。本研究では、単純な発生制御メカニズムをもち栄養繁殖の仕組みを有する苔類ゼニゴケをモデルとし、特に植物ホルモンの一種であるオーキシンの機能に着目して栄養繁殖の分子メカニズムの解明を目指した。平成26年度は、ゼニゴケ配偶体の形態形成におけるオーキシンの機能について、シグナル伝達に着目して得られたデータを論文にまとめる(Kato et al. PLOS Genetics, in press)とともに、被子植物で主要なオーキシン生合成経路であることが示されたIPA経路の初発酵素であるトリプトファンアミノトランスフェラーゼ(TAA1)の機能欠損変異体におけるオーキシン量の定量や、表現型解析を進めて論文にまとめた(Eklund et al. Plant Cell, in press)。配偶体優占の生活史をもつゼニゴケにおいても、IPAを介したオーキシン生合成およびTIR1・AUX/IAA・ARFを介した転写制御が、栄養繁殖器官形成を含む形態形成全般に重要な役割をもつことが明らかとなった。
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