研究課題
本研究では、主に、2つのアプローチによって研究を進めている。第1のアプローチでは、JPDIの生理的な基質を同定することによって、本酵素の生体内における機能を解明することを目的としている。前年度までに、JPDIとシステインを介して複合体を形成するタンパク質を、網羅的に同定した。その成果を論文にまとめ、BBRC誌に発表した。本年度は、JPDIを欠損する細胞を利用して、JPDIの役割の更なる解明を目指した。興味深いことにJPDIを欠損する細胞でも、JPDIとシステインを介して直接相互作用する因子の生合成に顕著な影響は認められなかった。このことは哺乳動物細胞の小胞体にはJPDIの機能を代替できる因子が存在する可能性を示唆する。これはJPDIの役割を解明する上で重要な情報である。第2のアプローチでは、インシュリンと共有結合中間体を形成する酵素をインシュリン産生細胞から精製することにより、インシュリンにジスルフィド結合を導入する酵素を同定することを目的にしている。前年度までに、実験条件の最適化をすすめた。本年度は、それらの情報に基づき、マウス膵臓β細胞由来の培養細胞株MIN6から、インシュリンと複合体を形成する因子を同定することに成功した。この中には、PDIファミリータンパク質が計4種類含まれていた。今後は、当該因子がインシュリンの生合成に果たす役割を解明するために、当該因子の発現をsiRNA法等で抑制した場合の影響をパルスチェイス実験により調べる必要がある。更に、本年度は、PDIの再酸化にはたらくEro1aとPDIとの相互作用を特異的に阻害する低分子化合物を発見しJBC誌 に発表した。本阻害剤は、PDIの機能を特異的に抑制するため、インシュリンの生合成機構の解明にも、貢献すると期待している。また、以上の内容の一部も含めFree Radic Biol Medに総説を発表した。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件) 備考 (2件)
Free Radic Biol Med.
ページ: in press
10.1016/j.freeradbiomed.2015.02.010
J. Biol Chem.
巻: 289 ページ: 27004-27018
10.1074/jbc.M114.564104.
http://db.tohoku.ac.jp/whois/detail/0e7d0c63988511d969d32c13b37c77cd.html
http://www.lifesci.tohoku.ac.jp/teacher/h_kadokura/