研究課題/領域番号 |
24580143
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
江坂 宗春 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (70151975)
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研究分担者 |
藤川 愉吉 広島大学, 生物圏科学研究科, 講師 (10506687)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アスコルビン酸 / アセロラ / 遺伝子組換え植物 |
研究概要 |
アセロラは、アスコルビン酸を大量に含む熱帯植物である。特に、果実に大量のアスコルビン酸を含み、その含量はレモン果実の20倍以上となる。本研究は、アスコルビン酸を大量に含有するアセロラに焦点をあて、アスコルビン酸の生合成、代謝および生理機能について調べることを目的とした。また、応用学的には、アスコルビン酸高含量ストレス抵抗性植物の作出を目指した。 アスコルビン酸生合成酵素のmRNA発現についてアセロラとシロイヌナズナのものとを比較した。その結果、調べられたアスコルビン酸生合成酵素のすべてにおいて、アセロラのmRNA発現がシロイヌナズナのmRNA発現に比べ著しく高かった。さらに、アセロラのGDP-D-mannose pyrophosphorylase遺伝子のプロモーター解析を行った結果、そのプロモーター活性は、植物の高発現プロモーターとして知られているcauliflower mosaic virus 35S プロモーターやシロイヌナズナの GDP-D-mannose pyrophosphorylase遺伝子のプロモーターより高かった。これらのことから、アセロラのアスコルビン酸生合成酵素の転写活性が顕著に高いことが、アセロラのアスコルビン酸の生合成能を高め、結果的にアセロラのアスコルビン酸含量が著しく高いことにつながることが明らかになった。 アセロラのアスコルビン酸生合成酵素GDP-D-mannose pyrophosphorylase遺伝子をタバコに導入し、過剰発現させたところ、タバコのアスコルビン酸含量は野生植物の2~3倍に増大した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの研究は、おおむね目的に沿って進行しており、順調に進捗している。 すでに、アスコルビン酸生合成酵素のmRNA発現についてアセロラとシロイヌナズナのものとを比較し、調べられたアスコルビン酸生合成酵素のすべてにおいて、アセロラのmRNA発現がシロイヌナズナのmRNA発現に比べ著しく高いことを明らかにできた。 また、アセロラのアスコルビン酸生合成酵素遺伝子のプロモーター解析を行った結果、そのプロモーター活性も、植物の高発現プロモーターとして知られているcauliflower mosaic virus 35S プロモーターやシロイヌナズナの GDP-D-mannose pyrophosphorylase遺伝子のプロモーターより高いことを明らかにし、興味深い成果が得られた。すなわち、アセロラのアスコルビン酸生合成酵素の転写活性が顕著に高いことが、アセロラのアスコルビン酸の生合成能を高め、結果的にアセロラのアスコルビン酸含量が著しく高いことにつながることを明らかにし、興味深い研究成果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
アスコルビン酸含量の高い通常のアセロラ、アスコルビン酸含量が低いアセロラFB種、およびトマトの3つのアスコルビン酸生合成酵素(ホスホマンノムターゼ、GDP-D-マンノースピロホスホリラーゼ、GDP-D-マンノースエピメラーゼ)を組換え大腸菌により発現させた後、現有の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等で精製する。そして、精製酵素の酵素化学的解析を行い、これらの酵素の性質(至適pH、Km値、Vmax値、安定性)を明らかにする。アセロラのアスコルビン酸生合成酵素の触媒活性が、アスコルビン酸含量が低いアセロラ亜種FB種やトマトの該当酵素のものに比べ高いかどうかを評価する。また、有意に高い場合には、そのことが、アセロラのアスコルビン酸含量の高い理由になりうるかどうかを考察する。 アセロラの3つのアスコルビン酸生合成酵素(ホスホマンノムターゼ、GDP-D-マンノースピロホスホリラーゼ、GDP-D-マンノースエピメラーゼ)の精製標品を抗原として、それぞれの酵素に対する特異抗体を作成する。アセロラのアスコルビン酸生合成酵素の遺伝子発現が、アスコルビン酸含量が低いアセロラFB種やトマトの該当酵素の遺伝子発現に比べ高いかどうかを評価する。具体的には、特異抗体を用いたイムノブロット法により酵素タンパク質量を、また、リアルタイムRT-PCR法によりmRNAの発現量を調べ、アセロラのアスコルビン酸生合成酵素の高い遺伝子発現が、アスコルビン酸含量の高い理由になりうるかどうかを評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
遺伝子発現を解析するための薬品やチップ等、遺伝子組換え植物を作出するための薬品、機器等の消耗品に使用する。特にアスコルビン酸生合成酵素のプロモーター解析のための薬品や、植物細胞培養用のホルモンや培地、植物の形質転換のために使用する薬品に用いる。 その他、研究発表のための出張旅費、研究成果をまとめた論文を作成、投稿するための費用として使用する。
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