研究課題/領域番号 |
24580143
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
江坂 宗春 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (70151975)
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研究分担者 |
藤川 愉吉 広島大学, 生物圏科学研究科, 講師 (10506687)
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キーワード | アセロラ / ビタミンC / アスコルビン酸 / 酵素 / 遺伝子 / 生合成 / 遺伝子組換え / 遺伝子発現 |
研究概要 |
熱帯植物であるアセロラはアスコルビン酸を豊富に集積し、特にアセロラ果実はオレンジの20倍以上のアスコルビン酸を含んでいる。アセロラでは主要なアスコルビン酸生合成経路であるマンノース経路のアスコルビン酸生合成酵素のmRNA発現は非常に高いことが明らかにされている。しかし、アスコルビン酸生合成酵素の遺伝子発現がどのように制御されているかは明らかになっていない。 本研究では、アスコルビン酸高含有植物であるアセロラのアスコルビン酸生合成酵素に着目し、熱帯植物のアスコルビン酸集積機構を明らかにすることを目的とした。アセロラではGDP-D-マンノースピロホスホリラーゼ(GMP)遺伝子上流域に着目し、GMP遺伝子の発現調節シス因子の同定を目的にプロモーター解析を行い、アセロラGMPの上流1100 bpから1080 bpの領域に高発現に関わる転写活性化シス因子が存在している可能性を明らかにした。アセロラにおいてマンノース経路以外のアスコルビン酸生合成経路の存在を明らかにするため、ガラクツロン酸経路に関わるガラクツロン酸レダクターゼ(GalUAR)のcDNAクローニングを行い、アセロラGalUARの全一次構造を明らかにした。 本研究では、植物のアスコルビン酸生合成において、GGPが重要な役割を果たしている可能性と、アスコルビン酸生合成酵素に高発現に関わるシス因子の存在を明らかにした。さらにアセロラにおいてアスコルビン酸生合成の副経路に関わるGalUARの全一次構造を明らかにしたことから、今後のアセロラのアスコルビン酸生合成に関する研究に役立つものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
熱帯植物であるアセロラ果実にはアスコルビン酸が大量に含まれている。これまで本研究室では、植物の主要なアスコルビン酸生合成経路であるマンノース経路に着目し、アセロラのアスコルビン酸生合成酵素の遺伝子発現がシロイヌナズナのものに比べて非常に高いことを明らかにすることができた。しかし、アセロラのアスコルビン生合成酵素の遺伝子発現がどのように調節され高い発現を示しているかは不明である。 本研究では、最初にアセロラのGDP-D-マンノースピロホスホリラーゼ(GMP)遺伝子上流域に着目し、GMP遺伝子の発現調節シス因子の同定を目的にプロモーター解析を行い、アセロラのGMP遺伝子のプロモーター活性が非常に高いことを明らかにすることができた。 一方、植物では組織や時期に応じて、マンノース経路以外の複数の経路でアスコルビン酸が生合成されることが明らかにされた。そこで、アセロラにおいてマンノース経路以外のアスコルビン酸生合成経路の存在を明らかにするため、ガラクツロン酸経路に関わるガラクツロン酸レダクターゼ(GalUAR)のcDNAクローニングを行った。得られたPCR産物の塩基配列から推定されるアミノ酸配列をシロイヌナズナやトマト、イネ、イチゴと比較したところ約50%の類似性が認められたため、得られたPCR産物はアセロラGalUARのcDNA断片と考えられる。次いで、このcDNAの塩基配列を基にプライマーを設計して、3’RACE法を行いアセロラGalUARの3’末端側のcDNAクローニングを行った。 このように、現在までに興味深い成果が得られており、「研究の目的」の達成度については、「おおむね順調に進展している」ものと評価した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で、アセロラGMP遺伝子の開始コドンから1200 bp上流までのプロモーターには、遺伝子発現調節シス因子が存在することが明らかになった。少なくともアセロラGMPの上流1100 bpから1080 bpの領域に高発現に関わる転写活性化シス因子が存在している可能性ある。さらに植物ホルモンの処理によってGMPプロモーター活性が低下したことから、アセロラGMPプロモーター内に植物ホルモンに応答して負に制御するシス因子も存在する可能性がある。さらに、アセロラGMPのプロモーター活性はシロイヌナズナのものよりも高いことから、アセロラGMPプロモーターの高い活性がアセロラGMP遺伝子の高発現の要因であることが示唆された。今後は、このGMPプロモーターのシス因子を同定するとともに、高いプロモーター活性機構について、明らかにしたい。さらに他のアスコルビン酸生合成酵素遺伝子のプロモーターについても解析したい。 最近、トマト果実ではガラクツロン酸経路でアスコルビン酸が生合成されている可能性が報告されている。今回、アセロラからGalUARのcDNAクローニングに成功した。今後は、アセロラ果実においてガラクツロン酸経路が機能しているかどうかを調べるとともに、アセロラGalUARにも着目して、その遺伝子発現調節機構を解明することを目指したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度の残額2,358円は、必要な薬品を買うには、少々足りない金額となったので、次前度で使用する事になった。 研究計画を実施する上で必要な消耗品(薬品)に、昨年度の残額2,358円を使用する予定である。
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